また氷結
やっぱり熱は出してこない
でもこれぐらいなら術式を使うまでもなく避けられる
何をしても五条悟の劣化版でしか無い自分を
受け入れるのは怖かった
五条悟を追いかけるという生きる目的が
無くなってしまいそうで不安だった
自分ではない誰かに呪われていると思っていた自分を呪っていたのは
自分自身だということに気づいてしまった
____お前は俺じゃねぇだろ
この言葉を聞いてから
私思ったんです
教室に入ってあなたを見た時
誰かに似ているって
それが誰なのかはまだ分からない
だけど
助けを求めるようなその背中は
生きる意味が分からなくて
どうして生まれてしまったのかと涙して
最強の背中をただ追いかけることしかできなかった
あの時の私にそっくりだった
飄風操術
私は五条悟じゃない
あなたもエンデヴァーじゃない
そして私とあなたもまた違う
五条悟のいる世界で生きるのは辛かった
だから兄さんは私を逃がしてくれた
あなただって本気でエンデヴァーを否定したいのなら
エンデヴァーの選んだ道を辿る必要はない
それなのに必死になってその道を進むのは
あなたの追いかける先に
エンデヴァーではない誰かがいるからなんでしょう?
進みたい道があるからなんでしょう?
私は兄さんのように強くはないから
私が全部なんとかするだとか
私があなたを守るだとか
そんな心強いことは言えないけど
____お前は俺じゃねぇだろ
人を救う言葉はたった一言だ
たった一言だけで人は救われることができる
私が言うべき一言
私思ってたんです
人って憎悪とか嫉妬とか恨みとか
そういう負の感情だけで生きていくのって
すごくしんどいんです
それだけじゃあ視野が狭くなって
自分の歩いている道が他の誰かのものであると思ってしまう
その道の先に誰かがいたとしても
他の誰かのものになるなんてあるわけないのに
狭い視野では分からなくなるんです
自分が誰の選んだ道を歩いているのかが
そう
今のあなたのように
なりたいものになりたいから
あなたはヒーローを目指した
あなたはエンデヴァーを拒んだ
あなたはここに来た
全てあなたが選んだ道だ
緑谷さんの時とは違う
今度は迷いの無い炎
なんで消すの?
え?
わかる
自分の存在を自分で否定してしまうと
誰の目にも映りたくなくなるんだ
轟さんの背中はもう
助けられた人の背中だ
私はあなたの英雄になれただろうか
私はあなたの心を救えただろうか
そんなことは聞くまでもなかった
あなたの背を見れば分かる
あなたはきっとそれができるのでしょう
前に進めないのはいつだって私一人だけだもの
【飄風操術】
風を操る術式
"鬼灯"
斬撃を繰り出す
"石楠花"
竜巻を起こす
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。