第3話

2.出会い
8
2025/02/12 12:49 更新
学校に着くと今は授業中だった。
見えないと授業中ウロウロしててもバレないからこの点においては便利だ。
私は二年四組に向かった。
二年四組は二階の一番奥だからちょっと遠いけどゆっくり歩いていくことにした。
二年三組の教室を通り過ぎようとしたとき……
なぜか一人の少年と目が合った。
え、なんで……私は見えないはずじゃ……
私は少し気になって三組の教室に入った。
そして目が合った少年の近くに行った。
すると少年が声をかけてきた。
「やっほ!僕が見えてるってことは君も死んでるのか…」
「うん、そうなの。てことは君も?」
「ああ。僕は病気で元々体が弱くてさ…医者にももう長くないって言われて…ついに昨日死んじゃった。」
「そっか…」
私はなんて声をかけてあげればいいか分からなかった。
「君はなんで死んじゃったの?」
「自殺。自分なんか悲しむ人いないって。でも私が間違ってた。弟や友達のこと考えてなかった…ポロポロ」
私はなぜか涙が溢れていた。
「神様から後悔を無くして来いって言われたけど、何も後悔なんて無いし……」
「…悲しんだ人がいるってことじゃない?」
「……」
…悲しんだ人…か。
家族…友達…先生…それくらいかな。
「僕の未練は友達や家族にありがとうって言えなかったことかな。」
「そっか。でもここに座ってる必要はないんじゃない?」
「僕、ずっと入院してたからあまり学校行けなかったんだ。だから学校に行くっていうのも心残りだったのかもね。」
「なるほどぉ…」
「僕、杉村寛汰かんた。君の名前は?」
「山田美紀。」
「美紀ちゃんか。短い間だけどよろしく。」
「うん。よろしく。」
「てかさ、美紀ちゃんはなんで学校に来たの?」
「…友達や先生にありがとうも何も言わずしんだからさ…聞こえなくてもお礼言いたくて…」
「そっか…じゃあ一緒に行こ!」
「うん。ありがとう。」
まさか死人の友達ができるなんて私は思いもしなかった。
そして私たちは二年四組に向かって歩き出した。
二年三組とは違ってなんだか暗い雰囲気が流れていた。
それもそのはず。昨日私が遺書とかも書かずに死んだから。
「私のせいだ…私が何も言わずに、何も書かずに死んだから…ポロポロ」
「美紀ちゃん…辛いのは分かるけど、挨拶行っておいでよ。」
「うん。ありがとう寛汰くん。ポロポロ」
*****
教室に入るとみんなが泣いていた。
私と中が良かった子はもちろん、仲が良くなかった子まで泣いていた。
「みんな……」
でも、唯一泣いてない人達がいた。
それは私をいじめていた人達だ。
逆にニヤニヤしていた。
あいつらを殺したいと思った。
でも今の私には実体がないからどうにも出来ないんだよなぁ…
私は恐る恐る教卓の前に立ち、
「みんな、ごめん。急にいなくなったと思ったら死んでるって言われて。困ってるよね。でも私にはこうすることしか出来なかった…ごめん…ごめん!ポロポロ」
どうせ聞こえてないのになぁ…
すると、私と一番中が良かった美月みつきがボソッとなにか言っていた。
「美紀…いるの…?」
えっ…美月…?
 
「美月、私はここにいる。だから泣かないで…」
「……」
やっぱり聞こえてないみたい…空耳か…。
「ありがとう。美紀…。」
美月……
私は少しすがすがしい気分で教室から出た。

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