廊下は、静かだった。
夜のホグワーツ――そう思っても、何ひとつ不自然ではない。
松明は一定の間隔で灯り、石の床は冷たく、足音だけが小さく返ってくる。
ハリーは歩いていた。
なぜここにいるのかは分からないが、歩く理由があることだけは分かる。
返事はない。
その代わり、気配が動いた。
壁の向こう。
床の下。
いや――もっと近い。
その瞬間、空気が重くなる。
逃げなければ、という感覚だけが先に来る。
ハリーは振り返ろうとした。
だが、身体が言うことをきかない。
これは命令だ、と分かる。
逆らえないと、分かる。
同じ頃。
漏れ鍋の一室で、あなたは眠っていた。
――はずだった。
胸の奥が、ちくりと鳴る。
の途中で聞く雑音とは違う。
外からでも、内からでもない。
誰かの状況が、歪んで触れてきた感覚。
あなたは、目を開けないまま、呼吸を整える。
すぐに分かる。
これは自分に向けられたものではない。
だけどそれがなぜ自分に聞こえるのか
それが分からない
ハリーの形をした人物が
鎖に付けられ
まるで牢獄のように吊るされていた
無意識に、拒む。
強い魔法ではない。
意思ですらない。
ただの、本能的な否定。
――わずかに、空気がほどける。
廊下の中で、あなたの視界が揺れた。
床が遠のき、
声が、引き剥がされるように消える。
あなたの名前は、ベッドの上で息を詰まらせ、目を覚ました。
自分でも夢だとわかっている
夢を現実だと思うほど子供でもない
だけど直感がそういっている
あれは単なる夢ではなく
意図的に見せられた映像であると
あなたは、ベッドから静かに足を下ろした。
音を立てないように、ではない。
音を立てる必要がないほど、身体が勝手に動いただけだった。
廊下に出ると、夜の空気が冷たい。
けれど、さっきまで胸の奥に残っていた重さは、まだ消えていない
ハリーの部屋の前で、あなたは立ち止まる。
扉の向こうから、わずかに聞こえる呼吸音。
乱れている。
――起きている。
あなたはノックをしかけて、やめた。
代わりに、扉に手を置く。
自分の情報は言わずに
乱れた髪の毛や
置かれているコップ
まるで何かから逃げたような汗を見て
あなたはそう聞いた
ハリーの体が一瞬強ばるのを見て
あなたは笑いながら続けた
あなたは会えて一泊も待たずに答える
即答だった。
ハリーは、それ以上追及しない。
あなたが“勘”と言う時、たいていそれ以上の説明はない。
あなたは確信する
同じ人物が
私たちに"印象操作"させようとしていると
変な理由はない
ただほんのちょっと自分の部屋に帰るまでの道が
怖く感じただけ
ほんの少し赤くなった頬を見て
2人は同じベットで眠りについた
その後の夢は幸せな夢だった
みんなで笑いあってる夢














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!