僕は世間一般で言う貴族だった
それなりに裕福で幸せだったと思う
学園でも成績は優秀な方だったし、留学だって行っていた
でも、いつからだろう
家族が壊れていったのは
子供な僕には分からない事ばかりだった
お父さんが領地に納めるお金を、規定値より多めに設定してただとか
お母さんが別の人と家庭を築いていただとか
そんなの、僕にはわからない
だってだって、だって…僕は子供だから
日に日に悪くなっていく空気をどうにかしようと、
持ち前のコミュニケーション能力で頑張ったのに
目の前の食事がひっくり返った、お皿が割れる音がした
2人の怒鳴り声が聞こえた
その時やっと察した、もうあの時のような家族には戻れないんだと
使用人は、1人、またひとりと辞めていく
お母さんは家を出ていった
お父さんは……夜な夜な来る領地の人をブチ切れながら追い返している
そんな毎日が続いていたある日
居場所の無くなった学園の帰り道
僕は、攫われた











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!