『 … 今日も 、 咲ちゃん と 帰るの ?』
「 うん 。御免な ? 気を付けて 帰れよ 。」
数週間後 、 勝利 と 咲ちゃん は 、よく一緒に帰るようになった 。
勝利の隣に居るのは 、 私 。
何故か そう 思い込んでた 。
ほんと … 、私って 馬鹿だよね 。
その 数日後 、久し振りに 勝利と 帰ることに なった 。
他愛の無い会話 を 笑いながらする 当たり前だった この 帰り道 。
すると 、 勝利が 急に 黙り込み 、真剣な表情で こう言った 。
「 … 俺 、 咲の事 … 」
辞めて … 。
その先は 、 言わないでよ … 。
ね 、 何故か 分かんないけど その先は 聞きたくない 。
それに … 、いつの間にか 呼び捨てで 呼んでるし … 。
「 … 好きになった 。」
がらがら と 、 何かが 私の中で粉々に崩れ落ちた 。
やっぱり 、勝利の隣は あの娘が お似合いだもんね … 。
ほら 、 言わなくちゃ 。
『 良かった ね … 。 頑張って 。』
「 有難う 。さすが 、俺の 幼馴染 。 優しいな 。 」
笑いながら 、 そう言う 勝利 。
そう言えば 、 一昨日ぐらいから 、赤いマフラー 巻いてたっけ … ?
何故か 照れた様に 笑って 何度も そのマフラーを触ってた 。
やっぱり … 、あのマフラー は 、あの娘が 選んだ物だったんだね … 。
どうしよう … 、 泣いちゃいそうだよ … 。
嗚呼 … 、今 気づいちゃった 。
御免 … 、 好き だよ 、勝利 … 。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!