凛華side__
店員さんに ハンバーグ定食とサラダバーと ドリンクバーを ドヤ顔で頼んだ私は , 綉弥から ツッコミを受ける。
折角の奢りなのだから , 少しぐらい頼み過ぎてやろうと思い , 普段より多めに頼んだのだ。
と、少し馬鹿な顔をして けろっと言葉を返すと 彼は 苦笑して 一緒に笑う店員さんに 「じゃあそれで 。w」と頼み ,
此方を向いて もう一度苦笑した。
私の隣には 波月ちゃんが居て , 前には 夏輝, その隣に綉弥が居る。
その風景に 私は 何だか 違和感を覚えていた。
何も変わっていないのだ。 今までと何も。
だが, 何処か そわそわするような , 不思議な感覚に襲われた。
この違和感の種は… と考えていたところ , 夏輝が 口を開いた。
中三の夏。 一緒にプールに 3人で遊びに行った 事があった。
家が近所で 親同士も仲が良くて , 3人で遊ぶのは当たり前だった。
ご飯だって よく一緒に食べたし, アポ無しで 家に突撃したり , 唯 通話だけを繋いで 永遠と喋っているだけの 時もあった。
プールに行ったあの日 , 約束したんだ。
高校に入っても ずっと一緒に居るって。
その為に 頑張って勉強した。
皆と同じ高校へ行くために 。
2人はまぁまぁ頭が良かったし , スポーツも出来た。
県で1番頭いい所を 受験すると聞いた時に 私は全然実力が足りていなかったのだ。
でも2人と離れたくなくて 必死こいて勉強して… 。
入学してからは 綉弥とは ちょくちょく会ってご飯してたりしたけれど , 段々 忙しくなるに連れて 会う機会も減ったし、まずクラスが 離れていたし。
夏輝は 同じクラスだったからよく 喋ったし、 とっても楽しかった。
でも3人揃ったのは1年ぶりぐらいで , 懐かしい。
寂しかったのかな , 綉弥が居なかったの。
……って何考えてんだか。
なんだかなぁ~ …… と考えていると 誰かに名前を呼ばれた気がした。
みんな酷い言い様だ。
悪魔だの 食いしん坊だの 阿呆だの……。阿呆は言ってなかったけど。
にしても扱いが酷い。
そんなに私いつも 煩いのだろうか。
それは大変だ。目立たぬ様に モブでいられるように生きてきた筈だった。
もう少し 日頃の生活を気をつけようと思った時 , 店員さんが 笑顔でハンバーグを持ってきてくれた。
けらけらと、 皆の笑い声が店内に響く。
店員さんも ケラケラと笑って ドリンクバーのコップを置き 厨房へ戻って行った。
Now Loading__________↺
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。