第22話

宙独性
268
2025/02/07 13:31 更新
 


ふわっと、冬らしからぬ風が吹いた。



目を開いた時、あなたの下の名前はもうすでにいなかった。でも、耳にはあなたの下の名前の声が反響していて、まだいるんだという視覚的情報と聴覚的情報の差で頭が痛くなる。




視界も悪くなってきた。






顔もあつい。


目を開けるのでやっとだ。






いっそ、溺れてしまいたい。

諸伏景光
また…オレ、殺したの….か…。
 

もはや、生きている意味がない。



そう思ってしまった。




思えば、組織を壊すことだけが生き甲斐だったのかもしれない。だから、あなたの下の名前のが死んだ世界でも、生きることができたのかもしれない。






無意識に、あなたの下の名前のいた花畑へ足を踏み入れた。

そこに手を伸ばせば、あなたの下の名前に触れられる気がして、手を伸ばした。








なにも、ない。


死のイメージはついても、死んだ後のことはイメージがつきにくい。


でも、今ようやくわかった。



死んだ後は、無にかえる。







考えれば、すぐ思いつくことじゃないか。


信じたくないものが真実だった、なんて…ありふれてるよな。

諸伏景光
…あ……


ふと、空を見上げた。



あなたの下の名前が言っていた、輝く星がわかった。



視界に入るだけで、その一点が異様なくらいに光っている。見たくないのに、見てしまって…情報が頭に入っていく。





新月だったから、余計、綺麗に見えた。でも、オレには水槽に入れられた絵の具にしか見えなかった。






それくらい…目の中は潤んでいた。

諸伏景光
ばかだな…オレ…







諸伏景光
いや…


伸ばしていた手をぎゅっと、握りしめた。



足元にまで目線を下げると、小さな瓶が転がっていた。






青い花が入ったモニュメントのようだった。

諸伏景光
一緒だな…
信じたいものだけを信じたんだ…



諸伏景光
オレと、あなたの下の名前は。











もう、後悔はない。



諸伏景光
いくよ、あなたの下の名前。






俺は決めた。




これから、すべきこと。



諸伏景光
ここで死んだら、苦しんで死んだあなたの下の名前が
許してくれない。



諸伏景光
生きるよ。




諸伏景光
奔走して、逃げたくなって、
泣きそうな時…




諸伏景光
またくる。
だからここを選んだんだろ…?






あの瓶に入っていた青い花は「勿忘草」



花言葉は「私を忘れないで」







あぁ、忘れないよ。





だって…君は…



諸伏景光
愛した人だから…ね。




言っておけば良かったな。


諸伏景光
愛してる…


諸伏景光
って、届かないかな…笑





諸伏景光
さようなら、あなたの下の名前。

諸伏景光
また…いつか。





一月に入って、ヒロは仕事に復帰した。



でも…やっぱり、どこか苦しそうに見えて。




声をかけた。

降谷零
ヒロ…最近休めてるか?
諸伏景光
休んでるよ!
というか、休みすぎて訛ってるんだ…笑
降谷零
ほんとに、大丈夫なのか?
諸伏景光
大丈夫だよ!いま休んだら、良い波が
来なくなっちゃうって
降谷零
そうか…
諸伏景光
ゼロは心配性だな?笑



心配してるよ。



なんて、言えなかった。






あの時、僕は止めてしまったんだ。


でも、ちゃんと、戻ってきた。




どういう心境であったであれ、信頼できなかったのは
僕が悪い。







それを素直に謝ることができないのは…

諸伏景光
仕事、手伝おっか?
降谷零
いや、大丈夫だ。
諸伏景光
無理しないで?
はい、コーヒー。
降谷零
あぁ、ありがとう…



ヒロが、いつもと変わらない姿勢で僕と関わってくる
から。


でも…時々遠い目をしているヒロが幽霊みたいで…





怖いと思ってしまうこともある。







それでも。

僕はもう、ヒロを疑うことはできない。





それが、僕とヒロが親友でいるためのケジメだ。






だから、今日も。
降谷零
元気か?
諸伏景光
元気だよ。逆に、毎日言われると
おかしくなりそうだな笑
降谷零
まぁ、いいだろ?
諸伏景光
逆にゼロは元気?
降谷零
あぁ…




ヒロが裏でどんなことをしているのか…




僕は知らない。











時々する、遠い目が何を意味しているのかも知らない。














知らない、フリ・・・・をして、今日を生きている。



           〜end〜
作者
いかがでしたでしょうか…?
作者
ちょっとした裏話をこの次のチャプターで
書きます!
作者
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嬉しいです!

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