桜並木が街を彩る。
私は大学内を歩いていた。
石畳でできている。
洋風の建築には惹きつけられるものがあるなぁ…
視線を下に向けていると前から歩いてきた人と肩がぶつかった。
何を言われてるか一瞬分からなかった。
当たってしまった人物はただいま土下座している。
待て待て
一回整理しよう。
ぶつかる(私の不注意)
↓
土下座した(謎)
↓
間髪入れずに求婚された
土下座している女性にそう促すとハッとしたかのように顔を上げた。
顔面は悪くない。
むしろいい。
美人という印象を受ける。
ただ言動のせいで今はただの奇人だ。
土埃を払いながら大神さんはそう告げた。
そして大神さんはこちらに向かってぎゅっと一歩を踏み出す。
ぎゅっと手を握られ、至近距離で求婚された。
女性に。
大学のど真ん中で。
何故か名前をしっている。
そんな中私が取った行動は…?
言葉を出せただけでも偉いと思う。
拒否すると大神さんは信じられないという顔をして膝から崩れ落ちた。
皆に注目されている。
とうとうスマホを私達に向ける人まであらわれてきて私は逃げるようにしてその場を立ち去った。
……私は何も聞こえなかった。
ウン
大慌てで教室に駆け込む。
まだ講義は始まっていないようでホッと胸を撫で下ろした。
高校からの友達、“鈴”が手招きする。
私はありがたく隣に座る。
準備をしながら雑談をし始めた。
教授の姿がドアから入ってくるのが見え前を向いた。
鈴も真剣な顔をしてルーズリーフに書き込んでいる。
私も集中しようと姿勢を正そうとした。
先程も聞いた声が教室に響いた。
できれば聞きたくない声。
私を見つけると大神さんはこちらに駆け寄ってくる。
教授さえも目を真ん丸にしていた。
鈴も困惑している。
私は悟る。
終わった…と












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!