第4話

家での役割
1
2026/06/06 12:16 更新
「私、家ここ。じゃあね」

「え、あんたの家でかない?」

大きな赤煉瓦で囲まれ、おまけに大きな庭付き。まるで絵本の中にいるかのような立派な豪邸を指差す彼女。黒い鉄製のおしゃれなもんには、確かにNatsukiとある。

「あんたんち金持ちなん?うらやましいわ」

「?ありがとう」
彼女と別れてから、私は重い足をひきづりながら家へ向かう。
さっきの家を見るとうちの家がぼろっちく見えるな。しかしまあ、那月の腹の中が知れた1日だった。少しの達成感を胸に玄関を開ける。





「姉ちゃん!さくらが!さくらが俺をぶった!」

「はあ?あたし悪くない!りくが悪いんじゃん!」

「お前ら黙れよ!それか死ね!」

「おぎゃ、おぎゃあー!」


なんたる地獄絵図。これがあたしの家なのだ。いやでも那月の家の優雅な雰囲気を妬む自分がいる。

突然だけど、あたしの親はどうしようもないやつだ。
学生の時に出会った2人はとても無責任な恋をした。今でも彼らにはお互いのことしか見えていない。そんな彼らの愛の副産物であるあたし達は彼らの視界にも映らない。実に勝手極まりない。
あたしは不運にも一番最初に生まれてきてしまった長女だった。後から後から生まれる弟妹の世話をするのは必然的であった。

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