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第11話

番外編
5
2026/04/30 07:11 更新
るきな
るきな
蒼くん、またそんな顔して
るきな
るきな
…新入生なんだから
るきな
るきな
もう少し社交的にしないと友達できないよ?

大学の図書館の片隅

窓から差し込む午後の柔らかな光の中で、 

るきな先輩が呆れたように笑いながら、

俺の頬を指先でつついた

四年生の彼女は、

卒業までの残り少ない時間を惜しむように、こうして俺の隣に座っている
蒼
友達なんていらない
蒼
俺がここに来た理由は
蒼
たった一つなんだから

俺は彼女の指を捕まえ、そのまま手のひらに唇を寄せた

るきな先輩は

「もう……」と顔を赤くして視線を逸らすけれど、

その手は決して引き抜こうとはしない


神に造られた "死神" だった頃、

俺の指先には体温なんてなかった

触れるものすべてを終わらせるための、氷のような指




けれど今、俺の指先には、

ドクドクと脈打つ血が通っている

彼女を抱き寄せ、

その柔らかさを確かめるための、人間の体温が

蒼
…るきな、こっちを見て

俺が低く命じると、

彼女は魔法にかけられたように俺の瞳をじっと見つめ返した



 "三年前、あの日"

彼女を救うために自らの核を砕き、

存在そのものを消去される覚悟で空を舞った

消えゆく意識の中で、俺が最後に神へ叩きつけた願いはただ一つ
死神
死神
俺を消すなら、俺のすべてを代償にして
死神
死神
彼女が"愛される自覚のある"世界へ連れて行け

結果として、神は皮肉な慈悲を与えた

俺を "人間" として転生させ、

彼女と同じ世界に放り込んだのだ




死神としての記憶は、完全ではない

けれど、魂の奥底には、

彼女への執着という名の "消えない消印" が押されている

るきな
るきな
蒼くん…?

俺が無言で彼女の腰を引き寄せ、

鼻先が触れ合うほどの距離まで詰めると、

るきな先輩は小さく肩を震わせた

るきな
るきな
…誰かに見られたら、どうするの?
蒼
いいよ、見せつけてやる
蒼
…お前は俺のもので、俺はお前のものだって
蒼
神にだって、他の男たちにも

 "三年前のあの日"

彼女を "天使病" に陥らせたのは、俺の無意識の愛だった



今の俺は、その事実を少しも後悔していない



むしろ、彼女を俺だけのものにできるなら、

もう一度その背中に呪いの羽を植え付けてやりたいとさえ思う




もちろん、そんなことはしない

彼女の背中は、今は滑らかで、

白くて、ただ俺の腕の中に収まるためにある

るきな
るきな
ねぇ、蒼…
蒼
ん?
るきな
るきな
私、たまに不安になるの
るきな
るきな
…あなたがまた
るきな
るきな
どこかに消えちゃうんじゃないかって
るきな
るきな
全部、夢なんじゃないかって

るきな先輩の瞳に、僅かな不安の影が差す

俺はそれを塗りつぶすように、彼女の耳たぶを甘噛みした
るきな
るきな
んっ///
蒼
逃がさないよ
蒼
神が無理でも、俺は力ずくでお前をここに繋ぎ止めてやる
蒼
…先輩は、俺がいないと
蒼
生きていけない体になればいいんだ


それは、死神時代から変わらない、

俺の "寵愛" の形


彼女が大学を卒業し、社会に出て、

俺の見えない場所へ行くことさえ、今の俺には耐えがたい



できることなら、この図書館の静寂の中に、

彼女を閉じ込めておきたい

俺だけが彼女の名前を呼び、

俺だけが彼女の明るさを知っていれば、それでいい

るきな
るきな
…蒼くんの愛、重すぎるわ
蒼
自覚はあるよ
蒼
…でも、お前もその重さが心地いいんだろ?

俺が耳元で囁くと、彼女は降参したように俺の肩に顔を埋めた
るきな
るきな
…えぇ
るきな
るきな
…世界中で、あなただけ
るきな
るきな
私をこんなに狂わせてくれるのは

その言葉を聞いた瞬間、

俺の胸の奥で、かつて "死神" と呼ばれていた頃の

冷酷な独占欲が、熱い愉悦に変わった




 "神様、見てるか"

俺たちは、

あんたが作った不条理なルールを飛び越えて、

今、こうして互いを汚し合うように愛し合っている



羽なんていらない

空なんて飛ばなくていい


この泥臭い人間界の片隅で、

俺は彼女という名の檻の中で、永遠に生きていく


蒼
大好きだよ、るきな
蒼
俺の、可愛い獲物♡

窓の外では、サクラの季節が終わり、

力強い新緑の季節が始まろうとしていた



俺の新しい人生は、

すべて、彼女を愛し抜くためだけに捧げると決めている


〜完〜
どうも、作者のるいです
以上で終わります!
特に言うことないんですけど、
もしよければ!
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またどこかでお会いしましょう!!
バイバイ!

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