ゆきむら。目線
あれから1時間ぐらい歩き続けている。
あなたの仮の名前は疲れた様子を一回も見せない。
なんだかロボットのように歩き続けている。
意味がわからなかった。
僕が行くか行かないかで決めるなんておかしい。
自分の好きにすれば良いじゃないか。
あなたの仮の名前目線
私はゆきむら。さんが”進みたくない。“そういうまで歩くつもりだった。
だってそういうことでしょう?
一生着いて行くっていうのは。優しいあなたなら許してくれるよね。
分かってる。私の気持ちに分からないままどっか行くんでしょ。
知ってる。知ってるけど…悲しいかもね。
僕がそう聞くとあなたの仮の名前が冷たくそう言った。
前、いつか教えるって言ったから聞いたのに。その時じゃないってこと?
淡々とあなたの仮の名前は言葉を返していく。
ロボットのように正確で…感情が篭っていないみたいに冷たく。
僕はそれから家に帰って、夕日を見ながら調べものをしていた。
あなたの仮の名前は何かを伝えたがっていたのかもしれない。とそう感じたからだ。
でも、何も手がかりはない。あなたの仮の名前のような人は居ないようだ。
そして僕はふとあることを思った。
僕は海とだけ検索してみた。
すると海の情報、画像、そして出てきたのは…
それをクリックしてその記事を見て行くと出来てきた言葉は、
”海が綺麗ですね。“
あの時あなたの仮の名前が言っていた言葉と同じ。
一見普通の何気ない言葉だから何も気にしていなかった。
”好き“なのかもしれない。
気づけなかった。
今からでも遅くないだろうか。
あなたの仮の名前にちゃんと言葉を伝えるのは。
それともあなたの仮の名前はもう…居ないだろうか。
僕は走った。
あなたの仮の名前が帰っていないことを祈って。
海について見えたのは…夕日で光る海の姿と、
”膝まで海に浸かっているあなたの仮の名前の姿だった。“
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。