第10話

海の先は。
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2022/10/14 22:49
(なまえ)
あなた
海の先、見えませんね。
ゆきむら。
当たり前だろ。水平線なんだから。
(なまえ)
あなた
そう言うことじゃなかったんですけど…
ゆきむら。
どういうことだよ。
ゆきむら。目線

あれから1時間ぐらい歩き続けている。

あなたの仮の名前は疲れた様子を一回も見せない。

なんだかロボットのように歩き続けている。
ゆきむら。
どこまで行く気?
(なまえ)
あなた
どこまでも。私は死ぬまで歩く。
ゆきむら。
なんでだよ。僕は行かねえよ?
(なまえ)
あなた
じゃあやめる。
意味がわからなかった。


僕が行くか行かないかで決めるなんておかしい。

自分の好きにすれば良いじゃないか。
ゆきむら。
自分の好きにしろよ。
ゆきむら。
お前が歩きたいなら歩けば良いだろ。
(なまえ)
あなた
…? はぁ、だから言ったじゃないですか。
ゆきむら。
何をだよ。
(なまえ)
あなた
”ゆきむら。さんに着いていく“って。
あなたの仮の名前目線

私はゆきむら。さんが”進みたくない。“そういうまで歩くつもりだった。

だってそういうことでしょう?

一生着いて行くっていうのは。優しいあなたなら許してくれるよね。
(なまえ)
あなた
ねえ、見てください。海が綺麗ですね。
ゆきむら。
なに? 綺麗だけど…
分かってる。私の気持ちに分からないままどっか行くんでしょ。

知ってる。知ってるけど…悲しいかもね。
ゆきむら。
で、何にお前は悩んでるんだよ。
(なまえ)
あなた
教えません。
僕がそう聞くとあなたの仮の名前が冷たくそう言った。

前、いつか教えるって言ったから聞いたのに。その時じゃないってこと?
ゆきむら。
どうしたら教えてくれる?
(なまえ)
あなた
ゆきむら。さんが気づけたらです。
ゆきむら。
…気づけたら教えてくれるのか?
(なまえ)
あなた
それで私が安心出来たらです。
淡々とあなたの仮の名前は言葉を返していく。

ロボットのように正確で…感情が篭っていないみたいに冷たく。
ゆきむら。
分かった。今日は解散にしよ。
(なまえ)
あなた
はい、分かりました。では。
僕はそれから家に帰って、夕日を見ながら調べものをしていた。

あなたの仮の名前は何かを伝えたがっていたのかもしれない。とそう感じたからだ。

でも、何も手がかりはない。あなたの仮の名前のような人は居ないようだ。



そして僕はふとあることを思った。
ゆきむら。
もしかして海…?
僕は海とだけ検索してみた。

すると海の情報、画像、そして出てきたのは…
ゆきむら。
海の、隠語…
それをクリックしてその記事を見て行くと出来てきた言葉は、

”海が綺麗ですね。“

あの時あなたの仮の名前が言っていた言葉と同じ。

一見普通の何気ない言葉だから何も気にしていなかった。
ゆきむら。
あなたの仮の名前は…僕のことを、?


”好き“なのかもしれない。


ゆきむら。
僕は…? 僕もあなたの仮の名前が好き、?
気づけなかった。


今からでも遅くないだろうか。

あなたの仮の名前にちゃんと言葉を伝えるのは。

それともあなたの仮の名前はもう…居ないだろうか。


僕は走った。


あなたの仮の名前が帰っていないことを祈って。

海について見えたのは…夕日で光る海の姿と、




”膝まで海に浸かっているあなたの仮の名前の姿だった。“

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