第52話

第五十話 重なる姿
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2026/01/11 23:36 更新
それから無言の太宰さんの後を一生懸命ついて行くと、見覚えのある道が見えてきた。
あなた
(ここは……)
あなた
(Lupinか……)
予想通り、太宰さんはLupinへと入るための急な階段を降りていった。

そのあとを追いかける。
太宰さん
いつものと、林檎ジュースを頼むよ
マスター
こちらに
太宰さん
ありがとう
俺が入ると、もう机にはお酒と林檎ジュースがのせられていた。

俺は林檎ジュースの前に座った。
あなた
…あの、太宰さん
あなた
どうしてそこまで俺を探偵社に入れようとするんですか?
太宰さん
……何故だろうね
拗ねてしまったのか、一向に目線を合わせようとしてくれない。
あなた
……
あなた
(どうしよう……)
太宰さん
そんな気まずい沈黙を破ったのは意外にも太宰さんだった。
太宰さん
…織田作はね
太宰さん
頑固で、余り表情が読めないし
太宰さん
オマケに天然で何を考えているか分からない
太宰さん
そして、殺しを最も嫌う
あなた
……?
太宰さん
……
太宰さん
……似ているのだよ
太宰さん
君と織田作が
あなた
俺が、織田作さんと……?
太宰さん
重ねてしまうのだろうね
太宰さん
                                           マフィア
君が織田作のようにまた組織の犠牲になったら…
太宰さん
そう考えるだけで恐ろしい
太宰さん
私はね、二度も友人を失って正気でいられるほど強くは無いのだよ
太宰さん
このままだと君も簡単に消えてしまいそうな気がするんだ
あなた
太宰さん
…そう説得しても君はまだ迷っているのだろう?
太宰さん
全く、変な頑固さもそっくりだ
太宰さん
……もし、私の話を聞いて心が少しでも変わったのなら
太宰さん
休暇中だけでも探偵社にいて欲しいな
あなた
……分かりました、そうします
そういうと、太宰さんは嬉しそうににこりと笑った。
太宰さん
よし、じゃあ今日はサボろうか!
あなた
え?
太宰さん
終業まで、このままここで過ごそう
あなた
え、いや、それは流石に……
太宰さん
まぁまぁ、偶にはいいじゃないか!
太宰さん
マスタァ!蟹缶あるー!?
マスター
こちらに
太宰さん
流石マスター
太宰さん
準備が早いね
あなた
国木田さんに怒られますよ…?
太宰さん
大丈夫、大丈夫〜!
太宰さん
私はもう国木田君に怒られ慣れたから
あなた
慣れちゃダメですよ…
太宰さん
ふふふ…
太宰さん
今頃国木田君は探し回っている事だろうね
太宰さん
「太宰の野郎は何処へ行ったァ!!!」って
声真似が地味に上手い……

この人にできないことなんてない気がするな……
あなた
…あの、太宰さん
あなた
俺、休み中にできるようになりたいことがあって…
太宰さん
何だい?
あなた
料理、なんですけど……
太宰さん
……ふむ
太宰さん
ここは折角だから一緒に作ろうじゃあないか!
あなた
いいんですか!?
太宰さん
あぁ、勿論さ
この時の俺は知らなかった……

この時の選択が大間違いだったことに____
太宰さん
さて、では作ろうか!
国木田さん
作ろうか!、では無い!
自信満々に腕まくりした太宰さんの頭を国木田さんが思いっきり叩く。
太宰さん
痛いなぁ…
国木田さん
何故貴様らは社の給湯室を使って
国木田さん
ハンバーグを作ろうとしている!
あなた
すみません…
あなた
俺が料理をできるようになりたいと言ったばっかりに……
国木田さん
全く……
国木田さん
向上心を持つのは良い事だが
国木田さん
協力者を選ばんとこういう事になるぞ
あなた
以後気をつけます……
太宰さん
私を裏切るのかーい!?
太宰さん
私、泣いちゃう!
あなた
えっ、いや……
国木田さん
お前は小僧を困らすな!
そういうと国木田さんは太宰さんの脛を蹴り飛ばした。

太宰さんは蹴られた部分を抑えながらぴょんぴょんと跳ねる。
太宰さん
痛い!酷いよ!
国木田さん
貴様が原因だろうが!
国木田さん
……それと小僧
国木田さん
忠告だ
あなた
何だろう……

前の殺気放っちゃった件かな……

きっとそうだよな……

ご迷惑かけちゃったし……
国木田さん
相談相手は選べ
あなた
え?
あなた
そ、相談相手…?
国木田さん
彼処のワカメ頭に相談したのだろう?
太宰さん
うふふ、ワカメ頭だって!
何だか嬉しそうなのは何故だろうか……
国木田さん
彼奴は信用できん
国木田さん
貴様も易々と秘密をバラされたくはないだろう?
あなた
……まぁ、そうですけど
国木田さん
ならば気をつけるんだな
あなた
…忠告はそれだけなんですか?
国木田さん
……もっと忠告して欲しいのか?
あなた
いえ、でもてっきり、先程殺気を放って
あなた
しまった時のことを言われるのかと……
国木田さん
……まだ社員ではない貴様に説教は垂れん
国木田さん
だが、社員になる気があるならば
国木田さん
貴様の癖も正していく
国木田さん
この唐変木のようになられては困るからな
あなた
滅茶苦茶太宰さん嫌われてるな……

それにしても……
あなた
国木田さんって優しいんですね
あなた
敵である俺にさえ助言してくれるなんて

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