暫く歩いていると、
桜の学ランをまたしても引っ張られる感覚がして
彼女の方を振り向く。
彼女は公園を指さしていた。
寄りたいのか?そう言うと
おそらく伝わったのか頷いたあなた。
彼女が先人切って公園へと入るから、
その姿を桜は追いかけた。
あなたは相変わらず笑っている。
そしてノートを見せてきた。
「 桜君ともう少しお話したくて…
いいかな…? 」
と、きれいな字で書かれていた。
桜は驚きながら頷くと、
あなたはまた笑った。
座った所はテーブルもある立派な公園だったため、
あなたと桜は向かい合わせに座っていた。
彼女は彼の言葉を理解するために
タブレットを机に置く。
ゆっくりと首を横に振ったあなた。
さっきの、とは梶と桜が揉めていたことだ。
あなたは自分のせいでとか思っているんだろう。
けれど、そうじゃない。
そう書かれたノートを見て、
咄嗟に違う、と言うがあなたは首を振った。
耳が聞こえなくなった私が悪いから、と。
彼女はノートに書いて見せてくれる。
なんでって言われても…
当たり前のことを話すのは
桜としても少し複雑だ。
そう言うとあなたは
すごく苦しそうな顔をした。
あなたはそうノートに書いて、
そのままタブレットを置いて去ってしまった。
耳が聞こえない彼女にこの声は聞こえない。
そう立ち尽くす桜の手には
彼女のタブレットが握られていた。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。