ド ォ ン ッ ッ ド ォ ン ッ ッ ! !
ナツがランの能力を真似て 、 ランに攻撃している 。
ランの能力の〚 桜乱舞 〛は追跡能力もある 。
そのため 、 ナツが桜の花びらを出してはランを追跡し 、 何かにぶつかるまで追い回す 。
それをイルマは止めずに楽しんでいる 。
まるで 、 ランが二人に遊ばれているようだ 。
ランも隙を見つけて反撃する 。
しかしそれは 、 ナツには無効化 、 イルマには簡単に弾き返されてしまう 。
弱々しい声で呟いた 。
終わろうとするナツにイルマが尋ねる 。
随分鬼のような事を言うイルマ 。
ランとナツは「鬼だな。」と感じた 。
ランが高台に登った 。
自分の周りに沢山の花びらを生み出す 。
戦場の半分を覆うほどの桜の花びらが二人に向かう 。
その一言で 、 嘘みたいに桜が消えた 。
ミコトの〚 呪言 〛を真似たのだ 。
ランを煽る言い方で言う 。
イルマも横でニヤニヤしてランを見ている 。
ランが両手を強く握りしめた 。
ランの体から一気に魔力が溢れ出した 。
それに二人が反応する 。
何を見せてくれるのかと 。
二人の顔は笑っていた 。
ランの気配が変わる 。
目を閉じ 、 ゆっくり開いた 。
そのランはまるで 、
別人みたいに 。
ホ ワ ァ ァ ァ ァ ァ ァ …
大量の桜が二人を包んだ 。
本物なのか 、 幻なのか 。
二人の視界が 、 桜によって遮られた 。
どこを見渡しても目の前にあるのは桜 。
魔力を帯びているのか 、 全方向から魔力が感じ取れる 。
ランが桜に溶け込む 。
気配も消しているため 、 ランを見つけ出すのは厳しい 。
ナツも 、 "自分を対象とした攻撃"ではないため 、 〚 能力無効 〛の能力を発揮できない 。
〚 呪言 〛でこの桜を消してやろう 。
そのとき 。
ド ォ ォ ォ ォ ォ ン ッ ッ ! ! !
思いっきりナツを殴り飛ばし 、 壁に激突させた 。
煙が晴れると 、 その壁に力なく寄りかかっているのが見えた 。
気配を消すことはイルマも簡単なことだった 。
上手く桜に溶け込み 、 ここから出ようとしていたところだ 。
パ チ ン ッ
動こうとしても何かに掴まれているように動かなかった 。
後ろをみれば 、 原因はすぐに分かった 。
ランが真顔で 、 イルマの腕を掴んでいたのだ 。
気配は消せても 、 こちらからランの気配が分かるわけではなかった 。
だから気づかなかった 。
気付けなかった 。
イルマは自分の負けを確信した 。
恐らく 、 能力を解けばすぐに拳か蹴りが飛んでくるのだろう 。
油断していた 。
自分の失態だ 。
パ チ ン ッ
ド ォ ォ ン ッ ッ ! ! !
イルマが予想していた通り 、 左脇腹に蹴りが飛んできた 。
その威力は尋常じゃなかった 。
気を抜けば 、 大人でも意識を持っていかれるほどの 。
周りの生徒は 、 そのランの行動を呆然と見ていた 。
勝ったことが分れば 、 人格が変わったかのように無邪気に喜んだ 。
この行動にも驚かされる 。
すると 、 ハッと思い出したかのように振り返った 。
アワアワと二人を交互に見ていると 、 二人がよろっと立ち上がったのが見えた 。
ナツは起きるなり 、 すぐ自分の傷を癒した 。
イルマはそれを 、 半目でジッと見ていた 。
そんな二人のやり取りを見て 、 良かったと胸を撫で下ろす 。
すると 、 見ていた三人が駆け寄ってきた 。
ランが説明をする 。
〔 千本桜・幻 〕とは 、 幻の 、 魔力を纏った桜を大量に出す技 。
目眩ましや 、 自身の気配を消すために使われることが多い 。
他にも 、 攻撃できるものもあるという 。
後ろから聞いていたナツとイルマがヒョコっと頭を出す 。
話をしている六人に 、 先生が近づく 。
六人は 、 自分たちの寮に戻っていった 。
先程の戦闘を振り返りながら 。
そんな後ろ姿を 、 生徒たちはじっと見ていた 。
またさらに 、 その六人が好きになる生徒が増えた瞬間だった 。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。