くすくす。くすくす。
みんながわたしを見てる。みんながわたしをいじめてる。
やめて。
やめて。
やめてよ、やめて。
どうしてもそのひとことが言えない。
ねぇ、ここから出してよ。
ねぇ、どうしたらいいの?
……………。
あぁ…そうだ…
みんな
し
ね ば
い
い
「ッ違う!!!!」
ばっと大声をあげて飛び起きた。しかし、目の前を見て、
「え…なに…ここ?」
アミティは拍子抜けした。
「えっ…牢屋!?なんで!?わたしなにもしてないよ!」
ベッドから起き、周りを見てみる。
周りは囲まれており、薄暗い。さっきまでアミティは二段ベッドの下段にいたらしい。
ふと、自分の服を見た。
「え、服変わってる…いつの間に…」
なんなら赤い帽子も被っていた。
牢屋の鉄格子をつかみ、叫んでみる。
「っねぇここどこなの!?出してよ!」
外からも声が聞こえる。
「わたくしを捕らえてどうする気ですの!!」
「犯罪ですよこれ…!!出して下さい!!」
よかった。ここにいるのはわたしだけじゃない。
「…アミティ?」
「へ…シグ?」
振り返ると幼なじみのシグが二段ベッドの上にいた。今起きたのだろうか。
「久しぶりー。」
「…うん、久しぶりだね」
シグとは園児のころからの友達だ。
学校は違うけど、今でも仲がいい。
とはいえ、しばらく会ってはなかったから久しぶりの会話だった。
「ねぇ…アミティ、ここどこ?」
「わたしが聞きたいよ…」
「そっかー」
シグもここを知らないらしい。じゃあどこ?
…まさか刑務所!?
いやそんなわけないか…
すると突然、モニターにフクロウが映った。
※カット
『看守のあとについてってください、抵抗は自由なんですが…命とかなくなっちゃうんで…はい』
「ひっ…」
思わず声が出る。さすがに怖い。
でもついていく他ないのでシグと一緒に牢屋を出た。そしたら。
「あ…、」
懐かしいあの背中が見えた。また…仲よくできるよね?
「アルル!」
名前を呼ぶと、びくりと体を震わせ、ばっとこっちを見た。そして気まずそうな顔をした。
「あ、アミティ…」
「…なんだ、アルル、知り合いか?」
隣の剣士っぽいお兄さんが疑問を投げてくる。
「…えっと」
アルルは間を少しあけ、答えた
「……ううん、知らない人」
「…え?」
「ごめんね、ボク行かなきゃ」
「ま、待って…!」
知らない?なんで。
確かにわたしたちは友達だったはず。
また仲よく出来ると思ったのに………。
お兄さんも慌ててアルルを追いかける。
………わたしも行かなきゃ。
「わ…広いなぁ…」
ラウンジはすごく広くてどこか不気味。矢とか置物が飾ってある。本物なのかな…。
看守によって出入り口が封鎖される。全員揃ったらしい。
わたしに、シグに、アルルに、リデルに、さっきのお兄さんに、桃色の髪の子に、メガネの人に、緑のお兄さんに、紫の女の子に、魔法使いっぽい人。
…たくさんいる。
てか、違うクラスだけど友達もいる。
「いや~すごいですわね~」
最初に口を開いたのは魔法使いっぽい金髪の少女だった。楽しそう。
「牢屋にいて、化け物に見張られてて!高まりますね~!」
楽しそう。(2回目)
「いやなにがだよ。落ち着けウィッチ」
さっきのお兄さんがツッコむ。
あの子、ウィッチって言うんだ…。
「あはは…ウィッチ、そうゆうとこ変わらないよねぇ。そーだ、みんな初対面だろうし自己紹介していかない?」
アルルがそう提案した。
「先に名乗るね。ボクはアルル。よろしくね!」
「わたくしはウィッチですわ!見ての通り魔法使いですの!」
魔法使い…確かに。
お兄さんは、渋々名乗った。
「俺はシェゾ。断じてヘンタイではない」
「シェゾ、へんた~い!」
「なにもしてないだろ!!」
…ちょっと羨ましいな、わたし、アルルに避けられちゃったから…
桃色の髪の子が言った。
「ラフィーナですわ。以後お見知りおきを」
メガネの人は、
「僕はクルーク。よろしく。」
ふたりは結構短めである。
緑のお兄さんは、
「僕はレムレス。みんなよろしくね♪」
紫の少女は、
「私はフェーリ。占い師ヨ…」
占い師かぁ。すごいなぁ…。
隣のクラスの友達、リデルは、
「私はリデルです、よろしくお願いします…!」
そして、
「わ、わたしはアミティ、よろしくね!」
「これで全員かな?」
アルルがそう言った直後。
「あっ…人がいっぱい…えっと、初めまして…」
さっきモニターに映っていたフクロウがいた。
上から来て机に止まると、
「改めまして、わたくし、この屋敷の管理を任されています、ゴクチョーと申します」
「さっきのフクロウ…!」
説明カット
「みんな、聞いて!」
少しの沈黙のあと、静寂を破るようにレムレスは言った。
「僕たちはどうやらここで生活することを強いられるらしい。だからこそ団結していきたいと思うんだ」
「まずはみんなポケットを見て。スマホが支給されてるみたい。残念ながら圏外だけどね。」
連絡ができるかもと一瞬思ったアミティは残念だと思ったものの、ひとまず次の言葉を聞くことにした。
「みんな、スマホに『魔導図鑑』ってアプリが入ってるよあね?そこにこの屋敷についてのルールが記されてたんだ。逆らったらどうなるかわからないし、ここに記されてた規則に従って生活していこう」
直後、全員のスマホから音が鳴った。
すぐに通知を開くと、『自由時間は終わりです。速やかに自分の牢に戻ってください』と書かれていた。
牢屋に入っている時間はルールを確認した。
その後、どうやら寝ていたらしい。通知音で目を覚ました。通知を見ると、夕食の時間らしい。
そういえば、シグは上の段にいたな。上を覗くと、シグは寝ていた。ご飯は食べて欲しいし、起こそう。
「シグーご飯だってー!起きてー」
…反応無し。
今度は体を揺さぶってみる。
「シーグー?」
「んん…、アミティ…?」
「ご飯だってー、起きよ?」
「うーへー…」
ごしごしと目をこすりながら上半身を起こした。
マップを確認してから牢屋を出た。
地下から出て廊下を歩いて食堂に行く。
「えっと…マップによればここに…あ、ここかな?」
「ムシ、いるかな?」
「ムシ…はどうだろ。いないかも?」
「そうかー…」
シグは少しがっかりしているようだ。
扉を開くと、みんなもう席についているようだ。
「あ、アミティさん…!」
リデルがラフィーナ、クルークと一緒の場所に座っている。
「ビッフェ式だったのでアミティさんたちの分も取っておきました…!」
「あ、ありがとう!」
「…ご飯?」
見ると、お皿にのったものはドロドロしており、色は…説明できないような、とにかく食欲がわかない色と形をしている。
「これって食べ物なのかな…」
「見た目はアレですが…以外といけますよ」
リデルが言う。
それを聞いて、
「貴方味覚狂ってますの?マズいですわ。」
ラフィーナがそう言った。
「…そういえばさ」
ふと疑問に思っていたことを口にする。
「ここにいる人ってみんな魔法使えるの?わたし使えないんだけど…間違って連れてこられたんじゃないかな、わたし…。」
「可能性はありますわね、ゴクチョーがさっき全国検査でひっかかったって言ってたけれど、いつされたか分かりませんし」
さっきのゴクチョーの話、というのは、わたしたちは危険な魔道因子を持っており、因子を持ってる人は魔法が使える。でも15さい以上になるとストレスを受けるたびに魔導師化が進み、ストレスを受けすぎると強い殺人衝動で殺人を起こす可能性があるそう。しかも最終的には看守、いわば、なれはて(化け物)になる可能性があるらしい。そんな危険な存在を放置するわけにはいかないので全国検査をし、危険な因子を持つ人をここに集めたんだそうな。
ちなみに補足だが、看守には逆らったら殺すよう洗脳しているためわたしたちは逆らったら死ぬらしい…。
…だが、わたしはその肝心の魔法なんて使えないし、こんな話聞いたことがない。
「みんなは魔法使えるの?」
「見たかったら見せてあげてもよくってよ?」
「君が見せたいだけじゃないか?」
「うるさいですわね!ぶっとばされてぇのかですわ!」
「君こそうるさいじゃないか!」
「お、落ち着いてください…!」
「…まぁ、いいわ。これが私の魔法、ですわ!」
そうラフィーナが言うと、席を立ち、ふわりと浮いてみせた。…10センチぐらい浮いている。
「すごいですね…!」
「おー」
「ふん、浮遊か…」
着地したラフィーナはぜえぜえと息を切らし、
「はぁ…はぁ…と、まぁこんな感じで私たちは魔法を使えるんですの」
「で?あんな大口たたいたんだから貴方の魔法も見せなさいなクルーク?」
「お断りするよ、これから殺人事件が本当に起こるなら不利になるじゃないか。」
…殺人事件。魔道因子を持った人はストレスを受けすぎると強い殺人衝動を抑えきれず、殺人事件を起こす。そうしたら、その魔導師と化している犯人を処刑する魔道裁判をする。と、ゴクチョーが言っていた。
…信じがたい話だ。
「殺人事件なんて…起こるはずないよ」
「僕もそう思うー。」
「もしもの話だ!!!」
「まぁ、確かに信じがたい話ですわよね。殺し合いをしろと言っているようなものですもの」
「だよね…、」
「…それで、貴方たちふたりはどんな魔法が使えるんですの?」
「わ、私ですか…?」
「僕?」
「そーですわ」
「そうですね…私は…『わたしはアミティ!よろしくね!』…こんな感じで、モノマネができます…!」
「すごーい!わたしの声そっくりだ!」
リデルの声マネはわたしの声そっくりで、それがリデルの魔法らしい。
「ねぇねぇシグはどんな魔法がつかえるの?」
「魔法?つかえないー。…強いていうならー」
そうシグは言うと、わたしのリンゴを真っ赤な手で取り_
グシャ。
…潰した。
「ちょっと力が強いぐらいー。」
「はいそれ貴方の魔法!」
「わ…わたしのリンゴ…」
「そうかー、まほーつかえたのかー…」
なんだかんだで食べ終え、地下へ向かう。
今日はもう疲れたや…寝よう。
そう思い、部屋のベッドに転んだ。
マップ見た感じ、たくさん部屋もあったし…明日は探索しよう…。
うぅん…
あれ、わたしいつの間に寝て…
目を開けると、目の前にシグがいて…
「うわぁぁあぁ!?」
「おはよーアミティ」
「お、おはよう…」
びっくりした…心臓バクバクいってるよ…
「ムシ見つけに探索いこ」
「う、うん、顔洗うからちょっと待って!」
「マップ見た感じ、いっぱいあるよね…どこ行く?」
「外、行きたい」
「じゃあ…中庭先に行ってみる?」
「そうする」
うーん…幼なじみだけど…相変わらずなに考えてるかわからないなぁ…
中庭は…あっちか
ー中庭ー
わ、空が見える…!しばらく外に出てない感覚だったからうれしいなぁ。
「ん?」
あそこにいるのは…レムレスとフェーリ…
話盛り上がってるみたいだし、邪魔しないでおこう。
「ムシいたー」
「あ、ちょっとシグ!」
ムシを追いかけていったシグを追いかける。
探索…この調子で大丈夫かなぁ…
ー外ー
「わ…外だ…!」
いつの間にか玄関も通り過ぎ、外に来ていた。
「ムシ…逃げられた」
いつの間にかムシも見失ったらしい。
探索しないとだし、外を回ることにした。
「ついでに外見て回ろうか、シグ」
「うん」
少し道を歩くと、こじんまりした家?が3件並んで立っていた。
中を見ると、ベッド、証明、本棚、机、木彫りのゴクチョーがあり、家全体は木で出来ている。
それはこの3件どれも全く同じだった。
「ここ、なんだったんだろう?」
「わかんない」
「そっかぁ」
「もう少し向こうに行ってみようか?」
「うん…」
宣言通り(?)少し離れた所に行ってみると、森のような所があった。人影が見えたので見てみると、ウィッチが奥の方をじっと見ているのを見た。なにかいるのだろうか…。
「ねー、ウィッチなにしてるの?」
「きゃぁっ!?」
「あ、驚かせちゃった?ごめんね」
「い、いえ…じゃあ、わたくしはこれで~」
「へ、ちょっと待っ……行っちゃった」
逃げるのはやい……邪魔しちゃったかな。
ウィッチの見ていたのが気になってよく奥を見ると、また人影があった。ふたつ。
…ア、ルル?それと、お兄さん。
楽しそうに話している。他には…特になさそうだし…ふたりを見てたのかな。でもなんで…
「貴方たちなにをしてますの?」
「うわっ!…ら、ラフィーナ…クルーク…」
「シグは一緒じゃないのかい?」
「へ?シグはここに…あぁぁぁ!?ムシおいかけてってる!待ってー!」
もう!なんでなにも言わないで行っちゃうのー!
…まぁ、幼なじみだから慣れっこではあるけど…それでもひとこと言ってほしいよ~!
そのあとお風呂と夕ご飯のあとは娯楽室、図書館に行った。…が、図書館の本の字は全く読めず。娯楽室には映画があったけどほとんどホラーだし…。ビリアードとかルールわかんないし!
ちなみに娯楽室にはレムレスとフェーリ、図書館にはクルーク。
そのあと医務室に行ったらリデルがいた。
「そういえば、今日配信があるみたいですよアミティさん」
「配信?」
「はい、このスマホ、配信機能もあるらしくて…レムレスさんとウィッチさんが配信するらしく…」
そこで、スマホに通知がきた。
配信が始まったらしい。
「あの…私のスマホで見ていきませんか?」
「いいの!?」
「はい!」
じゃあリデルのお言葉に甘えて…。
ベッドに腰掛け、配信を見る。
内容はそれぞれの得意分野披露。
レムレスは、ほぼお菓子食べながら紹介してるだけだけど。
配信を楽しんでいると、通知がきた。
どうやら就寝時間のようだ。もう牢屋に戻らないと。
「あー面白かった!リデル、見せてくれてありがとう!」
「いえ、私も楽しかったので…!」
「急いで戻ろう!」
「はい!」
そのあとすぐに各自の部屋に戻り、ベッドにもぐった。今日は楽しかったなぁ。明日も探索したいな…。あ、それにまだ話してない子とも仲よくなりたいな。…なんか、監禁されてること忘れそうになるな…。
…うぅん…
…朝?
時間は…あ、早起き出来ちゃた!?二度寝しよっかな…ううん、せっかくだし起きようかな
シグ起こすのもまだはやいし…朝散歩でもしよっかな!
…お腹空いたな…。
でもまだはやいし…うーん…
あ、じゃあ軽く食べる程度にしよっかな?それならまた食べても大丈夫だよね、うん。リンゴぐらいなら、ね?
よし、食堂に行こう!
歩きながら考えてみる。どこを散歩しよっかな。今日はどこを探索しようかな?まだまだ調べてない所いっぱいあるよね。それから、それから…。
ドン!
「わ!」
いてて…うぅん…あ、ひ、人!?お兄さん!?
「ちゃんと前見て歩け」
「ごめんなさぁい…」
…ん?なんか向かってる方一緒じゃない?もしや。
「ねぇお兄さん、食堂に行くの?」
「関係ないだろ」
「わたしも食堂行くの!一緒に食べない?」
「断る」
「えぇ!なんで?みんなで食べた方がおいしーよ!」
「俺は静かに食べたいんだ!全く、アルルも同じようなことを言ってたな…。はぁ。」
「あ、食堂に行くの認めた。」
「…あ」
「ふ、あははは!」
「なにがおかしいんだ!…ほら、着いたぞ。」
「いやだってお兄さんが…。」
扉を開けたお兄さんが止まった。
「…………ぁ…」
「?お兄さん?」
「あ…ぁ…あぁ…」
「お兄さ…」
「あぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
絶叫に近い悲鳴と共に、へたりとお兄さんは座り込んだ。
「………………え?」
その視界に映ったのは。

「……あ、るる…?」
アルルの死体だった。
「そんな…」
昨日まではあんなに生き生きとしていた彼女が、大好きな親友が、真っ赤な蝶と共に倒れていた。
お兄さんは真っ青になって。なんで、なんでと繰り返している。
そりゃそうだよ。…こんなの見て…正気でいられるわけない。嫌だ、嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…。
また仲よくできると思ったのに。
なんで…
………なんで?
騒ぎを聞いて、皆が来る。少ししてから、通知がきた。
『殺人事件、起きちゃいましたね…。
みなさん、一旦ラウンジに集合してください。』












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。