拾い上げたタロットカードは、不思議な熱を持っている気がした
描かれた『運命の輪』を指先でなぞりながら、私は最上階へと向かう
この場所へ来るように指示を出したのは
スターメーカープロダクションの所長――天祥院英智だ
扉を開けると、窓際のソファに座る彼が、穏やかな
けれどすべてを見透かすような微笑を浮かべていた
私は無言で、先ほど拾ったばかりのカードをテーブルを置いた
英智はそれを見た瞬間、一瞬だけ目を細め、懐かしむように
あるいは慈しむように細い指でカードを引き寄せた
英智はカードを私の方へ押し戻した
その瞳には、アイドルとしての冷徹さと、幼馴染としての
執着が混じり合っている














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。