____________何時間程経っただろうか、
まさか、こんなにもちが本能的に手加減してしまうとは、本気で弟を殺れないなんて
体制を整え、またナイフを弟に向ける。
やっぱりまだ、少し手が震えている
自分を指さしそう言う。
逢栗……意識は、まだ残ってるのか?
コイツはきっと、俺に逢栗を殺させることで、俺に精神的ダメージを与え、少しでも力を弱めさせたいんだろう。物理では勝てないと自覚しているから考えることだ。
なら、少し気絶させればいい。殺さない程度に、逢栗を気絶状態にさせる。そしてふみを呼び乗っ取りを解除してもらって____________
逢栗がどこからが刀を取り出し俺の腕を切った。
幸い腕が無くなることは無かったが……重症だ、当分は治らないだろう
チッ……援護を呼ぶべきだったな
もちも負けじとナイフで逢栗の左腕を切る。加減はしたから、数日も経てば治る傷のはずだ。
逢栗はまた刀を構えこっちに近づいてくる。
まさか、次は足を狙っているのか……?もちを殺すことに目標を変えたのか
近くにあった壁で壁ジャンをして距離を置く。
実は今、ピストルを所持しているが……俺はあまり銃の扱いになれていない。運悪く心臓に当たったりでもしたら……。
どうやってコイツを正気に戻すか…。
☆。.:*・゜
[緋央視点]
餅丸たちは、無事なのか……?それに、ルアも。
ヒカリたちの中にはふみがいるから信用できるとしても……。
はぁ、心配だな
嘲笑うようにこの悪魔はそう言う。
……コイツ、心底ムカつく奴だな
宗教絡みからか、ソレイユは夜永を嫌っている
姉の方はしっかりしてて、真反対のような性格。
本当に、姉妹なのかってくらいに。
途端、再び悪魔の方が口を開く
……まさか、コイツ
完璧に隠せていたはずだ。しかもコイツとはほぼ初対面のようなもの、早々バレるとは思わなかった。
…そういえば、アイツらは乗っ取られているのか。だから自覚もない、黒幕の奴もひでぇ奴だな
だから、黒幕と協力した。
アイツは人間のくせして人の心がないような、そんなヤツだから。
ソレイユには……悪いな、コイツも殺さなきゃ行けない。正体を見られたからには、
……正直、殺したくもないが
ズキ、と俺の心に響く。
そりゃ、殺したかねぇよ。殺さずとも願いが叶うなら……それで良かったのに。
アイツらは、俺のせいで死んだ。
まだ死ぬには、早い奴らだ。それを俺は…救えなかったんだ
だから、今しかないチャンスを逃すには……いかないんだ。
隠しておいたピストルを手に取り、ソレイユの頭に狙いを定める
悪魔たちは、ソレイユを助ける気はなさそうだし。コイツは、ただの僧侶…戦うことも出来ねぇはずなのに、
ソレイユは、1冊の本を取りだした。
魔導書……?
何故か、あの頃からこの言葉を放つと出てくる声。ノイズのかかった声。
いいえ、それでも僕は……この人を正気に戻さなきゃ行けない。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!