第29話

[過去編:実政]
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2024/04/12 08:23
私は、昔から異能力を疲れる人間としても、
位の高い人間だった。

私の世界は"異能力を持ち合わせていない"人間が4割を占めていた。

所謂、無能力者。

無能力者は国によって扱いが違う。私の住む国では、死刑にしている。仕事は任せられないからと言って放置すれば、勝手に死体になってしまうし。

保護すると言っても、そんなの国の恥になってしまう。

そんな死刑を担当するのが、この私だ。
学生の身分ながら、死刑執行の仕事を任されている。
_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
……今日は、6人か
私の異能力は、なんでも「切断」「分身」「転移」することが出来る。だから、人を殺す能力としては優秀な方なのだ。

死刑執行は、無理やり私がやる羽目だ。
正直人が死ぬ姿も、苦しむ姿も見たくない。
_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
何も殺すことは無いだろうに……まぁ、そんなことを上の人間にいったら私まで殺されるだろうね
この世は"位"で世の中が決まるのだ。一何時でも。
とある国では、"平等"だの言うが、そんなの建前に過ぎない。

死刑囚のいる場まで向かう。この瞬間は、いつ来ても慣れないものだ。
_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
……君が、死刑囚だね
モブ
あの、僕……どうなっちゃうの?
1人目の死刑囚は、まだ幼い、6歳くらいの少年だった。
モブ
お母さんがね、僕をここに連れてきたんだ
モブ
でも、ここは暗いし、怖いよ
_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
……大丈夫。すぐ明るい場所に連れて行けるよ
私の「切断」という能力は、相手を視界に捉えなければ発動できない。
少年の姿を見てみれば、白い服に痩せ細った身体。服の生地が薄いからか、痣が少し見える。

きっと、路地裏で小さく暮らしていたのだろう。だが、警察にみつかり、このザマ。

なんて、可哀想な子だろうか
モブ
お母さんに……会いたいよ
モブ
お父さんともね、約束したんだ
_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
……?
モブ
大きくなったら、一緒にケーキを食べるの
_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
ケーキ……食べた事がないのかい?
モブ
うん!絵本で見たことがあるけど…とっても美味しそうで、食べてみたいなぁって
……なんとも、胸が痛む。善意が傷つかれるこの感覚。

私は、何度も無能力者を殺めてきた。それもこの子以上に小さな子供を、多く
モブ
……ん、眠くなってきちゃった
それもそうだろう。殺す時に逃げられないよう、睡眠ガスをこの部屋に撒いているからな
_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
そうかい、ならゆっくり眠るといいさ
_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
起きたら、お母さんとお父さんの元に一緒に逝こう
モブ
うん、行く……おやすみ……
もう、こんな日々は懲り懲りだ。だから、この子と一緒にあの世に逝く事にした。

ああ、"異能力なんてなければ"

私も、この子も幸せだったのにな

_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
……さて
準備をするか……
少年を死刑場に運ぶ
_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
モブ
あの少年はもう運んだか?
_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
ああ、それと…死刑執行は、君に任せられないかい?
モブ
……なぜ?
_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
私も、一緒に死刑を受ける
モブ
……そんなの、駄目に決まっているだろう?お前のような貴重で便利な道具を捨てる訳にはいかないのだよ
_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
……やはり、ダメか
普通は、そうだ。私は警察からすれば道具でしかない。死ぬ事すら、自分で選べないのか。
モブ
さぁ、馬鹿なことを言っていないで死刑を執行してくれ
_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
ひとつ、……もう、辞めないか?
モブ
は?
_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
これ以上……無能力者を処刑するのは、私には出来ないよ、苦しすぎる
無能力者だからといって、彼達も皆我々と同じ人間。生きる権利はあるはずなんだ。


だから、もうこんな事は……続けたくない
モブ
…お前ッ、なぁ!!
モブ
もう、手遅れなんだ、今更なんだ!?善人ぶるつもりか!!
ズキ、と胸がナイフで刺されたような感覚になる。
_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
ッ……
モブ
……お前が殺した分はかえって来ないんだぞ!!!お前はなぁッ、俺の娘も殺してるんだッ!!
モブ
お前はもう立派な____________










____________"悪者"だ!!!
その言葉を聞いた瞬間、プツン、と何かが切れるような音がした。

そうか、私は

悪者、無能力者をなんの慈悲もなくぶっ殺してきた

殺人鬼
_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
……そう、だな。
モブ
……ほら、もう死刑執行の時間だ。やれ
_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
わかった
首を吊るす事ができるボタンを押す.

その時一瞬、「助けて」と聞こえた

ああ、本当にすまない。


"無能力者の死刑を全て取り消すことが出来たら"

そんなの、都合が良すぎるか


仕事を終え、家に戻りベットに入る
_七条 実政@しちじょう さねまさ_
七条 実政しちじょう さねまさ
(……私は、生きる価値のない人間だ)
ごめんなさい、

そう思い、目をつぶった。このまま安楽死出来れば、幸せだったのかもしれない。
____________
そして、眠った瞬間

私は、今いる世界線に辿り着いていた。

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