シエルside
路地裏に入ったら突然刺客に襲われた
かなりの手練のようだ
あのセバスチャンと互角にやりあっている
この路地の形を活かして攻撃してくる
技術自体はセバスチャンに劣るが
相手の方が地の利がある
この狭い路地では自由に動くことはかなり難しい
かなり……ヤバい
セバスチャンがもう倒れる寸前だ
これまでか…
と思い、銃を出す
すると、
刺客の背後にいつの間にか少年がいた
金髪の小さな男の子を抱えて
刺客の頭を叩き割ったのは手刀だった
見たことの無い奴だ
かなり怪しいし、僕が伯爵であることを知っていた
セバスチャンが身構えると
少年は慌てて自己紹介をはじめた
どうするか…
かなり悩ましい
これほど腕が経つ人間はなかなかいない
殺してしまうよりこっち側につけた方が賢明な判断に思えた
こいつは確実に前者を選ぶ
弟を大切に思っているようだから
先刻、攻撃を仕掛けた時も弟に被害が及ばないように庇っていた
働くことには案外乗り気のようだった
頑なに拒む
理由は分からないが、嫌ならそれでもいい
弟の分の採寸を済ませ、服を受け取り
僕達は新しい使用人を連れて帰ることになった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。