第53話

第五十三話「アイ」
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2023/11/24 11:23 更新
深澤 母
あの人はどこまで辰哉に求めてるんだかね?
深澤辰哉
深澤辰哉
ほんとだよ…俺に何になって欲しいんだよ。
深澤 母
ん〜……辰哉、よく聞いてね?
深澤辰哉
深澤辰哉
うん。
深澤 母
人間、誰しも必要な事があるの、なんだと思う?
深澤辰哉
深澤辰哉
……能力とか?
深澤 母
ううん。
深澤辰哉
深澤辰哉
え〜……才能、とか?
深澤 母
あんたねぇ…違うよ。
深澤辰哉
深澤辰哉
じゃあ何さ?
深澤 母
大事なのは、思いやりだよ。
深澤辰哉
深澤辰哉
…思いやり?
深澤 母
能力なんてこの先、生まれて来るアンドロイドが人間を凌駕してくる。じゃあ何で競うかって?
そこが、思いやりなの。所謂、道徳心。
深澤辰哉
深澤辰哉
ほぅ…??
深澤 母
思いやりがあれば、人間関係も良くなる。そして、その思いやりが、やがて愛になる!
深澤辰哉
深澤辰哉
アイ……???
深澤 母
辰哉にはまだわかんないよね。わら
でも大人になったらわかってくるよ!
深澤辰哉
深澤辰哉
そっか…?
深澤 母
まぁでもとにかく私が言いたかったことは…。
そう言って母さんは俺の頭を優しく撫でてくれた。
深澤 母
こんなテストよりも、すくすく思いやりのある子に育ってくれたら、私は何も言わないよって事。わら
深澤辰哉
深澤辰哉
……!!
何気に、俺が1番貰いたかった言葉はこれなのかも。俺もすごい普通の人間だよね。わら
深澤辰哉
深澤辰哉
わかった。
俺じゃあテストも運動も程よくできて、人間としてもちゃんとした人になれるよう、頑張るわ。
深澤 母
そうそう!その意気だよ。
クシャッとすげー嬉しそうに笑う母親が俺にとっては生きがいみたいなもので、大好きだった。


























































































































深澤辰哉
深澤辰哉
………。
目の前の顔に白い布をかぶせた、当時俺より一回り大きかった体。
子供の頃の記憶なんて少ししかないけど、この光景はすごい覚えてた。脳裏に焼き付くほどの、消し去りたいレベルの過去。
「ご愁傷様です。」次々と色んな人から言われるこの言葉。耳にタコができるくらいの言葉。最愛の人を失った俺には、お店でかかってる曲くらいどうでもいい音として聞き流してた。
深澤辰哉
深澤辰哉
重い…。
焼いて、箸で1つ1つ入れた骨。
壺に入った遺骨は、気持ちのせいもあったのか、はたまた小学生の小さな身体からしてか、とても重く感じた。
涙は1粒として出ない最低な自分。母親の言ってた思いやりのある子からはかけ離れてる事にかなり絶望した。
全然あの人の言ってた事をできてない。こんな所でも、俺はデキナイ子。嫌気がさす。
数日して、父親が不振な動きをしていたため、父親について行った。
深澤父
………。
深澤辰哉
深澤辰哉
???
遺骨を持って黙りこくっている。やっぱりあの人も人間なんだなって鼻で笑った次の瞬間。
バリィン!!!!
深澤辰哉
深澤辰哉
……はっ。
え。
深澤辰哉
深澤辰哉
何してんだよっ!!!?
深澤父
……いたのか。
深澤辰哉
深澤辰哉
質問に応えろっ!何してんだ!!!?
深澤父
…何って、見て分からないのか?壺を割ったんだ。
深澤辰哉
深澤辰哉
何で…っ!?
深澤父
あの女は今まで私にとって邪魔な存在だった。あいつが生きてるだけで金はかかりっぱなし。挙句の果てには、自分の息子に変な教育もする。
深澤辰哉
深澤辰哉
は…??
深澤父
何が思いやりだ。人はまず、その相手の実力を見てから思いやりだ。二の次だろ?
社会では思いやりは通じる事が少ないぞ?仕事などでは、その人の発想力、実行力、コミュニケーション…この中に思いやりはあるか?仁義はあるか?礼儀はあるだろうが……それは真の思いやりか?
深澤辰哉
深澤辰哉
え……。
深澤父
礼儀は自分を、自分が入ってる会社を、目上の人をどれだけよく見せるかの1種のパフォーマンスのようなものに変わっている。真の思いやりとはいかんだろう?
深澤辰哉
深澤辰哉
………。
深澤父
所詮は戯言よ。
目を覚ませ、辰哉。
頭が痛い。
屁理屈だ。
腹が立つ。
訳が分からない。
深澤父
混乱してる辰哉にいいことを教えてやろう。
人間を…都合良く使え。
深澤辰哉
深澤辰哉
!?
深澤父
お前はいずれ人の上に立つようになる。
自分にとって危険が及ぶようなことがあったら、人を……都合の悪い存在を駒として利用しろ。
深澤辰哉
深澤辰哉
………。
もう、考えるの、疲れた。
何が正解なのかわかんねぇや…。
………全員消えちゃえよ。
深澤父
あの女の言うことなんて、信じるな。
洗脳じゃないか、って思うほど言われたこの言葉は、今の俺の人生そのものになりつつある。





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