僕は鳥の鳴き声で目を覚ました。
代わり映えのないいつも通りの朝。
でも、今日は少し気分が沈んでいた。
ベッドから出てまっすぐテレビに向かった。リモコンを手に取り、電源をつける。
そこでは朝の情報番組をやっていた。
ーーー「Playtime社」の失踪事件から10年が経ちました。未だ行方不明者の情報は掴めず…
…僕はそれを聞いてすぐテレビの電源を消した。
僕はたった一人しかいない部屋の真ん中でそう呟いた。
僕は10年前、「Playtime社」のおもちゃ工場で働いていた。かなりの大手企業で、収入は安定していたと言って間違いないだろう。
しかし、事件は突然起きた。大半の従業員が一度に姿を消してしまった。原因は不明。同じタイミングで、あんなにも大勢を監禁などとは考えられなかった。誰が、なぜこんなことをしたのか。全てが不明のままだった。
幸い僕は行方不明にはならず、この事件後に逃げるように退職をしたのだった。
僕は行方不明となった同僚や工場の様子。それと、子供時代にお気に入りだった「Playtime社」のあのおもちゃのことを思い浮かべていた。
その時、玄関の方から音がした。
どうやらポストに何かが入れられたらしい。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。