閑也がカフェでバイトし始めてから、1ヵ月が経った頃。
夕方の忙しい時間がやっと落ち着き、店内にはコーヒーの香りがゆったり広がっていた。
カウンターの中で、如恵留がミルクを泡立てている。
その隣で、閑也がグラスを拭いていた。
背伸びして置こうとする閑也。
でも少し届かない。
如恵留がひょいっと取って棚に置く。
少し沈黙。
閑也はふと気になっていたことを聞いた。
如恵留は少し困ったように笑った。
二人で笑った。
その日の閉店後。
店のシャッターを下ろして、二人で片付けをしていた。
少し照れながら言う。
如恵留は少しだけ目を丸くした。
帰り道。
夜の道を並んで歩く二人。
二人はスマホを取り出す。
ピロン、と音が鳴る。
少し歩いたあと。
閑也がまた話しかける。
少し照れながら。
少し驚いた顔をする如恵留。
でもすぐ、ふっと優しく笑った。
少し恥ずかしそうに。
少し沈黙。
そして如恵留が言う。
嬉しそうに笑う。
二人で並んで歩く。
如恵留は少し驚いて、でも優しく笑った。
またま恋とは言えない。
でも
先輩と後輩だった二人は、
少しだけ距離を縮めて。
如恵留さんと閑也になった。
恋になるまで、
あと少し。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。