振り返るとそこには
少し息を乱したジョンハンが立っていた。
ジョンハンは私の目をじっと見つめて、そう尋ねた。
優しく心配してくれるジョンハン。
でもすぐに、その視線は私の手元へと落ちる。
次の瞬間、顔色を変えて駆け寄り
少し戸惑いながらも、私の手首をそっと掴んだ。
遮るように重ねられた言葉。
ジョンハンの目が、ゆっくりと指から私の瞳を捉える。
少し焦りを滲ませた、低い声。
ジョンハンはそれ以上言わず、口を閉じた。
ミンギュはこんなに優しいのに。
どうしてそんな目をするの。
本当はこんなこと言いたくないのに、口走ってしまう。
優しく掴まれていた手首を振りほどいた。
そう謝るジョンハンが、今どんな表情をしているのか
見なくても、なんとなくわかってしまうから
顔を上げることができないまま、一歩後ずさる。
そう言って、踵を返そうとした
その時だった。
背中越しに届いたその声に、足が止まった。
ゆっくり振り返ると
風が吹いて、ふわっと髪が揺れる。
そして今度はもっと、はっきりと聞こえた。
真っ直ぐな瞳が私を離そうとしない。
一瞬だけ視線を落として、また私を見る。
笑っていてほしい?
"他のやつにヘラヘラするな"
ふいにミンギュに言われた言葉を思い出す。
ジョンハンの言葉ひとつひとつが
私の胸の奥を、ゆっくり溶かしていく。
目の前が滲んで
気付けば、涙が頬を伝っていた。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。