深夜。
自宅マンションの最上階。
静まり返ったリビング。
私は昼間受け取ったカードをテーブルに置く。
「今夜、ご自宅へお伺いします。」
ふう、と小さく息をつく。
カーテンの向こうに月が見える。
すると、
カチリ。
窓の鍵が、静かに外れる音がした。
振り向くと、白い影が月を背に立っている。
キッドは優雅に室内へ降り立つ。
手袋を外す仕草。
白い布に包まれた物をそっと取り出し、
私にゆっくりと近づく。
何かを握る手が少しだけ首元に触れたかと思うと、
すぐに手を離し、握っていた手のひらをぱっと開く。
そこには、“月光の雫”。
私の首に元通りかけられていた。
私はゆっくり宝石を持ち上げる。
キッドは少しだけ真面目な顔に戻る。
夜風がカーテンを揺らす。
私は彼を見る。
キッドが言っていることは間違いない。
私はサファイアを胸元に当てる。
月光が反射する。
すると、キッドの視線が止まる。
私はキッドに背中を向け、キッチンへ向かう。
そう言ってキッドは窓枠に足をかける。
ふっと笑い、窓から外へ飛ぶ。
あっという間に月光の中へ消えてしまった。
部屋に残るのは、静けさとサファイアだけ。
私は窓辺に立つ。
頬が少しだけ、緩む。
遠くのビル屋上。
キッドは夜景を見下ろす。
緩んだ口元を手で抑えて、月を見る。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。