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第1話

#1 6人が集った日。
20
2023/11/04 11:21
あれから約3年…
この3年間は思いの外速く経過していた。
今思えば、この発端は3年前。
"6人"がこの部室に訪れた時からなのかもしれない。
佐藤先生
では、次夏さんお願いします。
千歳 夏(ちとせ なつ)
はい、
1年D組。千歳夏です。
演奏できる楽器は主に習っているピアノ,小学校の部活で担当していたヴァイオリンです。
希望パートはヴァイオリンです。
よろしくお願いします。
よかった。
一通り、はじめの自己紹介はできた。
そして、これからについて考え事をしているうちに私達1年生。
計7人の自己紹介が終わった。
新入部員歓迎会。
次の項目は今年から新しく副顧問を担当してくださる先生の挨拶だった。
大木 流歌(おおき るか)先生
こんにちは、はじめまして。
今年から副顧問をやらせてもらいます大木流歌です。ーー
へぇ…プロの方なのか…
華奢で綺麗な方だな…
当初はそれくらいの気持ちでいた。

だが、
後に、私達は大木先生と同じ年にこの部活を始めたことを一種の運命。
特別な縁とでもいうのだろうか。
そう、思うようになる。
やがて、歓迎会は無事終了し、私達は部活動という学校生活のスタートをきることになった。
しかし、その年の内に1人。
ー「1年も経たないという短い間でしたが、今までありがとうございました。」ー
そして、先輩が退部した後の二年。
自分達が最上級生になり、"これからだ!"というときにまた1人。
ー「来年度から受験生というのもあり、勉強に集中したいため、このような決断をしました。今までありがとうございました。」ー
約2年の間に同じ学年の部員が2人も退部していった。
勿論、所詮他人である私達には止めることなどできなかった。
これで、6人。
3年前あの日に部室に訪れ、今までずっと共に歩んできた6人。
そう。大木先生と、私と、同年代の残った4人。
佐藤先生は、2年に上がるときに離任してしまった。
だが、新しく顧問として入ってきた先生も部活に新たな風をに吹かせてくれた。



ーこれは、私が2年生になってからの毎日を綴った物語だ。ー
  
長山 澄花(ながやま すみか)先生
じゃあ、、、
四楽章の[C]から~
「はい!」
先生が指揮をする腕をあげる。
全体が僅かに息を吸う。
「~♪」
完璧には程遠い音が聴こえてくる。
だが、放課後訪れるその一時は、学校生活のどの瞬間よりも楽しいと思える時間だった。

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