第72話

無事を祈る
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2022/06/05 22:22
宮沢賢治
宮沢賢治
でも本当に…危ないですよ?
わたわたしてる賢治くんに、私はにっこり笑って一冊の本を見せた。
(なまえ)
あなた
これがあれば、何とかなる。…ポオさんのミステリだよ。
宮沢賢治
宮沢賢治
?……あ、もしかして
(なまえ)
あなた
ちゅーや兄との戦いで乱歩さんが使ったあれです。
宮沢賢治
宮沢賢治
…わあ!
意味がわかったのか、賢治くんが目を輝かせる。
江戸川乱歩
江戸川乱歩
僕が此処から消える、とか。
僕はそういって、にやりと笑う。

直後、周りの景色が一変した。

荒野のただ中、僕は立っていた。
江戸川乱歩
江戸川乱歩
ポオ君のミステリの中だね。あなたの下の名前がうまくやってくれたみたいだ。
僕は微笑んだ
江戸川乱歩
江戸川乱歩
まあ、あなたの下の名前の無事を祈るよ
太宰のことだからきっと…
一方その頃、
宮沢賢治
宮沢賢治
よいしょ〜っ!!
粉の入った袋が破れて、あたりにもうもうと立ち込める煙。
(なまえ)
あなた
あ、銃は使わない方が良いですよ
私は教えてあげた
(なまえ)
あなた
今銃を撃つと皆吹っ飛びますから。
粉塵爆発、というものがある。

小麦粉とか、そういう可燃性の粉がある程度の密度で空気中に充満していた場合、僅かな火が空気中の粉に燃え移り、爆発する。
私が言葉を続けようと口を開いた瞬間、
太宰
太宰
はい、悪い顔しない
治兄が頬をむにーーーっと引っ張る
(なまえ)
あなた
いつのまに…
太宰
太宰
あなたの下の名前が何しようとしてるかくらいお見通しだよ。
(なまえ)
あなた
う…っ
太宰
太宰
帰ったら、怒るからね。
治兄が確認形語句を使って「怒る」と宣言したらめっちゃ怒られることの予兆。



あ、これ、死んだかもしれないと思った。
正直、銃を持った男とかより兄の方が怖い…


勿論、めちゃくちゃ叱られた

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