ともside
ピピピピピッ
何度目かの目覚まし時計の無機質な音が部屋に響く
しかしその音に目覚めた訳ではなく結構前に目は覚めていた
しかし
異常な頭の痛さが邪魔で起きれなかったのだ
ガンガンとドンキで後頭部を殴られているような痛み
思わず顔が歪んでしまう
しかし今の時刻は9時
そろそろ起きなければみんなが心配してしまうだろうと思う
さらに今日は撮影の日
予め早く起きて準備をしておきたいのだ
今だガンガンとする頭を抑えつつ、ゆっくりと起き上がる
ベッドに座る形で起き上がると少々目眩もする
体も暑いし、ボーっとしている
そう予測しベッド付近にある体温計を手に取って測る
〜30秒後〜
ピピピピピッ
体温計の小さな音でさえ頭に響く
頭を抑えつつ取り出して見る
その数値を見た途端、今までさえ痛かった頭がより痛くなったような気がした
病は気から、と言うやつだろう
そう言い少し頬を叩いて喝を入れる
そして起き上がる
グラッとふらつくものの何とか踏み込み体を支える
そのまま服を着替えて降りていく
リビングからは賑やかな、いつもは嬉しいけど今日は頭に響く声が聞こえた
〜リビング〜
ちゃみんが笑顔でそういう
俺は出来る限りの作り笑顔で
とだけ言った
正直作り笑顔さえできてるか分からないが
笑いながらソファーにボスっと体を預ける
動きたくない
そう思った矢先、思い出したくもないことを思い出してしまう
みんながあれこれ言うが正直どうでもいい
体調が悪すぎて考えれない
ほんの少しだけ回る頭でスマホのカレンダーアプリを開く
そこに今日の日付には
「みんなでパシフィー撮影!!」
と書いてあった
パシフィーとは俺らも1度した事のあるホラゲーで、最近続編が出たのどうので撮影することにしたのだ
俺は今日に限って叫ぶホラゲーかよ……と肩を落としつつ
と忠告しておく
とちゃみんが分かりやすく肩を落とす
その意見には違う意味でも同じ意味でも同意だ
普通にしていても痛む頭が叫ぶと一体どうなることやら。想像もつかないししたくない
そして俺もホラゲーは苦手な類の人間
元気な日であっても乗り気にはならないゲームだ
しかし、視聴者さんはパシフィー実況、と言うよりホラゲー実況を要望しているかのように、ホラゲー実況は人気である
だとすると視聴者さんの期待に応えるためにもしない訳には行かないゲームでもある
それは少し乗り気にはならないが
と言うとみんなが頷いた
〜実況開始〜
始まった実況
正直言って頭は朝より痛くてガンガンする
目眩も良くはならず、悪くなる一方
さらに平衡感覚さえなくなってきた気がする
フラフラして椅子に座っている今でも倒れそうだ
頭の痛さでボーっとしていると鳥ちゃんに呼ばれたような気がしてハッとする
俺は出来るだけ元気そうな声で答える
その度に頭がガンガンするけど
心配される空気が怖くて
すぐに声をかけてゲームを開始した
〜ゲーム中〜
バーン!!!!
あんまり叫ばないようにと声を抑えつつ進んでいたものの、やっぱりホラゲーの耐性はついておらず、思わず叫んでしまった
今は頭痛に目眩、さらに吐き気までしてきた
正直意識も朦朧としている
ババーン!!!!!
目の前のお化けが出てきた瞬間
ぷっつりと俺の中の何かが切れ
そのまま意識を失ってしまった
〜あとがき〜
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。