阿部side
これから先は俺も佐久間も行ったことがなく、少しだけ不安に思っていたら
あべちゃん不安ー?
と少しにやにやしながら聞いてきたので、
別に!佐久間とはぐれて佐久間が迷子になっちゃわないかなって心配してただけ!
と言い返すと、
だよねぇ〜あべちゃんだもんねぇ〜
と少し煽りを含めた言い方で自転車に跨る。
今だけ、ほんと少しだけやっぱ佐久間は歳上なんだなと思いながら俺も自転車に乗る。
しばらく自転車を走らせていると田んぼが多くなってきた。
少しだけ不安に思っていると
冒険って感じしない!?
と、テンション高めの佐久間が急に話かけてきた。
おかげで冷静さを保ちつつ
暑いよーそろそろ木の枝倒さない?
と提案する。佐久間も
周り田んぼしかないけど確かに!
と乗り気だった。素直でよかった。
道の端に寄り、佐久間が木の枝を取り出す。
すると、
佐久間「およよっ」
阿部「暑つー…ん?どうした?」
佐久間「葉っぱ…取れた…」
阿部「あらら、どしよ」
佐久間「あべちゃんごめん…俺たちの真夏の大冒険がぁ…」
阿部「真夏の大冒険って…笑
とりあえず日陰になりそうなとこに移動しよ」
佐久間「はーい…」
あからさまにテンションが下がった佐久間を気にしながら日陰を探すために前に進む。
遠くの方でゴロゴロという音が聞こえ始めてきた。
空を見ると来た方向が雨雲で覆われている。
最悪間に合わないかもしれないと思いながら日陰になるところを探すが
佐久間「あべちゃん…あ、……雨だぁ!!!」
阿部「あーーー!間に合わなかったぁ!!!」
佐久間「やばい!テンション上がる!!!」
阿部「うそでしょ!?」
佐久間「ほんと!!!今が1番楽しい!!!」
阿部「とにかく早く雨宿りできるとこ探そ!」
佐久間のテンションも上がったと同時に雨が降り始める。
雨でテンション上がる佐久間すごいなと思いながら山とかにある屋根付きの休憩スペースを見つけたのでそこに留まることにした。
佐久間「にゃは!びしょびしょー」
阿部「ミスったーブランケットじゃなくてタオル持ってくればよかったー」
佐久間「俺っちタオルあるー」
阿部「じゃあまず佐久間だけでも」
佐久間「はいあべちゃん!使って!」
阿部「…佐久間使いなよ」
佐久間「俺の方が先輩だからさ、あべちゃん使いな」
阿部「先輩後輩関係ある?」
佐久間「………あるあるっ!ほら!使って使ってー!」
そう言うと佐久間が乱暴に俺の頭を拭いてくれる。
佐久間の顔を見ようと思っても地味に力が強くて目を向けれないから黙って拭かれていることにした。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。