第3話

牢獄という人生から囚人の僕は逃げ出せない
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2023/06/10 09:53
「──うん。学校でも楽しいよ」
 いつもの様に、見えない、偽りの仮面を被って。
「友達がすっごく優しいんだぁ!」
 いつもの様に、見えない、誰かの声を無視して。

 そんな人(キャラ)を皆んなが望んだ。

 僕以外の、ね。


「疲れたぁー」
 ボフッと効果音がつきそうなくらい、柔らかいベッドに僕はダイブした。
「……はぁ」
 何が『学校でも楽しいよ』だ。
 んなワケないだろ。
 学校でも苦痛でしか無いワ!!
 委員会の仕事で昼休み潰れるし、クラスは騒がしくてまとめるのが大変。これの何処をどう見たら楽しいんだよ!!
 少なくとも、僕は楽しく無い。
 で? 『友達がすっごく優しいんだぁ』?
 だったら良かったのにね。
 みーんな、自分が輝ける為に、僕を利用してる。
 僕を下に見て、自分がいじめる事で、共感を得ようとしている。
 めんどくさいなぁ! だから、そこで黙ってろよ、ぶりっ子。

 はぁー。
 もっとマシな人生どっかに売ってないかな。

 そしたら、
 もっと楽に生きれたらな。

 もっと──
 自分を偽んない人生、送れたのかな。

 そんな事どうでも良いか。
 僕は
 『人生』という『牢獄』から抜け出せない。
 いつも、誰かに監視されてる。
 自由がない。
 苦しい。
 お先真っ暗。

 最低な人生だよ。
 でも、僕は死んじゃいけない。
 『牢獄』にいる『囚人』だから。
 『囚人』というのは、
 親という期待の表し方──監視から逃れられない。
 人生を決められている──自由がない。
 いつも自分を偽らないといけない──苦しい。
 今も過去も未来も、何も分からない──お先真っ暗。

 だから──また今日も

『 牢 獄 』 と い う 『 人 生 』

         か ら

『 囚 人 』 と い う 『 自 分 』

          は

     逃 げ 出 せ な い。

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