第35話

外交が壊れた日 (第三国の部下視点)
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2026/05/01 02:42 更新
外交官C
どうしてこうなるんだ…
外交官C
どうしてなんだ!
私は、自室で頭を抱えながら大声で叫んだ。
…あの日、私は第三国の幹部外交官としてあの会議場にいた。
外こそ冷静な顔をしていたが…内心、歴史の生き証人となれることに心が弾んでいた。
四カ国条約、門戸開放、新しい国際秩序、日英同盟の円満な解消…
その全てが、私の心には新世界そのもののように聞こえていた。
その時が来るまでは…
その会議場で、私はかつてない非常識な光景を見ることになった。
外交官C
こんなこと前代未聞だ…
ここは本当に会議場か、事件の現場の間違いではないのか?
最初に出された議題、「四カ国条約」。
日英両国の反対は予想されていたし、決してそこまで荒れるような内容を言ったわけではなかった。
問題になったのは会議中の態度だ。
国の化身であり最高司令官でもある二人。
そんな二人がまるで…


付き合い始めたばかりの恋人たちのように愛し合っている。
これが問題にならないはずないだろう。
部下など、泡を吹いて倒れそうになっている者もいたし
かくいう私も議事録を取りつつ何かうわごとを言っていた気もする。
まあ、そこまでは一億歩譲って目をつむるとしても…
アメリカ
やっと決意してくれたか
アメリカ
それじゃあ…
調印の時、そこから事件は始まった。
そこまで居づらそうにしていたアメリカが、やっと瞬間をつかんで二人に用紙を渡せた。
本来なら空気を読んでいないととらえるべきかも知れないが…
空気など読んでいては締結はいつまでたってもできまい。
むしろファインプレーだったと言えるだろう…
…常識のある人間ならば、それが招いた混沌など予想できないだろうから。




「ビリッ」




あろうことか二国は、外交官たちの努力の結晶ともいえる条文をその場で破って見せたのだ。
呆れた声で何か言っていた気もするが、非常識すぎる事態に混乱していたせいか良く覚えていない。
そしてさらなる絶望はその後に待っていた。
何者かの工作により、電気が落とされたのだ。
現場はまるで戦場のような混乱に陥り、その間に…
日英両国・その関係者はどこかへと姿を消していた。
それによりさらに現場がパニックになったが、不思議と私の頭は冷えてきていた。
外交官C
(外交官として一番にすべきことはなんだ?
この混乱の中でも記録を取って情報を集め、我が国の国益となる情報を探して持ち帰ることだ)
外交官C
(となると…捜索団に付いていく方が良いだろう)
そう考え、私は捜索団に協力した。
…そこでも両国の植民地や部下の妨害に合ってしまい、結局逃げ切られてしまったのだが。
外交官C
(まあ、こんなめちゃくちゃな外交は続くまい)
外交官C
(物理的に逃げられたところでいつかはまた会議することになるからな)
…と、誰もが思っていたのだが。
モブ
大変です、大事件です!
ある日、部下が私の執務室に駆け込んできた。
外交官C
なんだ?
騒がしいな
モブ
聞いて下さい!
この前のワシントンのことで…
脳裏に嫌な記憶が映る。
外交官C
な、なんだ…?
モブ
世論が大変です!
モブ
町中では…
女学生A
この話素敵じゃない?
好きな人と添い遂げるために、国際政治の重みを捨てる…
国家様ではあるけれど、なんだか身近に感じちゃうわ!
女学生B
私もイギリスさんみたいな恋人欲しいなぁ…
守ってもらいたい!
女学生A
あなたにはもういいなづけがいるでしょ!
というかあなたとイギリスさんじゃ釣り合わなすぎるわよ!
女学生B
分かってるよ、英日だからこそなのは
でも夢見てもいいじゃん…
おばあさん
私も若い頃、じいさんと似たことをしたのぉ…
町の人
このニュースすごくない!?
紳士的だけどルールを破るべき時は破る…
これこそ私たちの上司よ!
学生さん
カナダと台湾、それに両国の部下たちの協力あってこその成功…
教科書に載せられますね、これ
モブ
…とまあ、この反響は思わぬ方に向かっていて…
モブ
他にも我が国の文学者の間で究極の愛の形だとか、とにかく当国だけにかかわらず全世界的に日英同盟の関係が庶民を中心に絶賛されています
モブ
制裁をしようとした国もデモにより大反対に遭い
うかつに手を出せない状況です
モブ
…以上、報告を終わります
報告が終わった瞬間、私は上司の執務室へ駆けていった。
おそらく彼女はこの惨状をあえて放置しているか、分かっていないのか…
とにかくどれほど国際秩序が乱されているのか知らないのだろう
ならば私が知らせて、しかるべき処置を執ってもらわねば!
外交官C
入ります!
ノックもせずに部屋へと飛び込む。
そこにいたのは…一枚の紙だった。
“部下たちへ
ずいぶんあのことが面白いことになっているようなので、急だけどロンドンへ行ってくるわ
支度は済んでいるし、報告はするので心配しないように
フランソワより”
私は、今度こそ机に突っ伏した。

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