私は、自室で頭を抱えながら大声で叫んだ。
…あの日、私は第三国の幹部外交官としてあの会議場にいた。
外こそ冷静な顔をしていたが…内心、歴史の生き証人となれることに心が弾んでいた。
四カ国条約、門戸開放、新しい国際秩序、日英同盟の円満な解消…
その全てが、私の心には新世界そのもののように聞こえていた。
その時が来るまでは…
その会議場で、私はかつてない非常識な光景を見ることになった。
最初に出された議題、「四カ国条約」。
日英両国の反対は予想されていたし、決してそこまで荒れるような内容を言ったわけではなかった。
問題になったのは会議中の態度だ。
国の化身であり最高司令官でもある二人。
そんな二人がまるで…
付き合い始めたばかりの恋人たちのように愛し合っている。
これが問題にならないはずないだろう。
部下など、泡を吹いて倒れそうになっている者もいたし
かくいう私も議事録を取りつつ何かうわごとを言っていた気もする。
まあ、そこまでは一億歩譲って目をつむるとしても…
調印の時、そこから事件は始まった。
そこまで居づらそうにしていたアメリカが、やっと瞬間をつかんで二人に用紙を渡せた。
本来なら空気を読んでいないととらえるべきかも知れないが…
空気など読んでいては締結はいつまでたってもできまい。
むしろファインプレーだったと言えるだろう…
…常識のある人間ならば、それが招いた混沌など予想できないだろうから。
「ビリッ」
あろうことか二国は、外交官たちの努力の結晶ともいえる条文をその場で破って見せたのだ。
呆れた声で何か言っていた気もするが、非常識すぎる事態に混乱していたせいか良く覚えていない。
そしてさらなる絶望はその後に待っていた。
何者かの工作により、電気が落とされたのだ。
現場はまるで戦場のような混乱に陥り、その間に…
日英両国・その関係者はどこかへと姿を消していた。
それによりさらに現場がパニックになったが、不思議と私の頭は冷えてきていた。
そう考え、私は捜索団に協力した。
…そこでも両国の植民地や部下の妨害に合ってしまい、結局逃げ切られてしまったのだが。
…と、誰もが思っていたのだが。
ある日、部下が私の執務室に駆け込んできた。
脳裏に嫌な記憶が映る。
報告が終わった瞬間、私は上司の執務室へ駆けていった。
おそらく彼女はこの惨状をあえて放置しているか、分かっていないのか…
とにかくどれほど国際秩序が乱されているのか知らないのだろう
ならば私が知らせて、しかるべき処置を執ってもらわねば!
ノックもせずに部屋へと飛び込む。
そこにいたのは…一枚の紙だった。
“部下たちへ
ずいぶんあのことが面白いことになっているようなので、急だけどロンドンへ行ってくるわ
支度は済んでいるし、報告はするので心配しないように
フランソワより”
私は、今度こそ机に突っ伏した。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。