ずっと、暗い所にいた
ここは何処だろう、
そこは海の中のように、俺の体を奥底へと、穏やかに、引きずり込んでいく、
…ぁれ、
気づくと、見慣れた場所にいた
俺の、俺たちの故郷
まだ、
燃やされる前の、
優しい故郷
いつもよりも幾分か幼い弟の声が頭に響く
いじけた弟のふわりとした、春の桜のような髪をひと撫でする、
みかさは文句を言いながらも、俺の手にするりとしてくる
なんともまぁ、
そうか、
燃やされたのは、俺の夢だったんじゃないか、
だって、
母さんもあんなに元気なんだから、
こんな幸せだったんだ、
いつもの日常が、
いつものこの風景が、
俺は気づかぬ間に涙を流していた
母さんとみかさが心配そうに俺の顔を覗き込む
俺は両手で顔を覆い、必死に泣き顔を見せないようにする
ぽふっ、と、母さんに頭を撫でられる
こんなの、いつぶりだっけ、
いや、あれは夢だったんだ、
だって、母さんはここに–––––
見上げると、真っ赤な景色が広がっていた
いや、正確に言うと、焼けただれた母に突き飛ばされて泣いているみかさが俺の腕の中で泣いている姿が見えた
キャ、という母の声が聞こえ、俺たちの家は全壊した
俺は呆然とした
全壊した家の前に突っ立っていると、その壊れた隙間から、赤い液体がドロドロと流れていた
俺は心が折れてしまった
みかさを置いて、その場に座り込む
地面に額を擦り付け、泥をつけながら、涙を溢しながら呟いた
ゆさゆさと俺の体を掴んで叫ぶみかさの声も、どんどん遠くなっていく
そう、うずくまっていると
みかさの掠れ声と共に、ドロリとした液体が俺の身体にかかった
それはまるで、さっき流れていた、あの液体のようで
バタンっと倒れるみかさを、
俺は、ただ呆然と見つめるしかなかった
嘘だ
だって前は、みかさは
俺と一緒に
あれ、
俺と、
一緒に、…、?
コンテニューしますか?
はい はい
俺はベッドから飛び起きた
…ベッド、?
ふかふかなベット
爽やかな鳥の鳴き声
何もかも穏やかで、美しい故郷
バタンっと扉を勢いよく開けるみかさ
どこも傷ついていない
愛しいままの、俺の弟
ギュゥッ
弟の前でみっともなく泣きじゃくる俺
そうだよな、夢だったんだよな、
コンテニューしますか?
コンテニューしますか?
コンテニューしますか?コンテニューしますか?コンテニューしますか?コンテニューしますか?コンテニューしますか?コンテニューしますか?コンテニューしますか?コンテニューしますか?コンテニューしますか?コンテニューしますか?コンテニューしますか?コンテニューしますか?コンテニューしますか?コンテニューしますか?コンテニューしますか?コンテニューしますか?コンテニューしますか?
ああ、また
何も知らない愛しい弟
これから何があるのかなんて
何も知らない、弟
今までとは違う、真っ白な世界
その世界で存在するのは、俺とみかさだけ
グイッ
ああ、いつも俺は
お前に助けてもらってばっかだ
みかさだ
大きくなった、
みかさ
そこですこしの茶々を入れる、
すこし間をおいたあと、
みかさが泣きそうな声で話す
そこで、あの風景が目に浮かんだ
守れなくて、ごめん
いつも、助けてもらってばっかで、
ごめん、本当にごめんな、
みかさは大粒の涙を流し、俺の胸に飛び込んだ














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。