ガサッ
何がどうなったのか、身体中に着いている葉っぱをたたき落としながら木から出てきたのは
オスマンさんだった
何でここに!?
という2人の声が重なった
オスマンさんは葉っぱを物凄いスピードで叩き落としながら
そう言うと、たたき落とすのをやめて私を見た
肩に小さな葉っぱが付いているのが何だかおかしくて、クスッと笑いながら取る
一体どうやったらこんなに葉っぱまみれになれるのだろうか
私に取ってもらったのが恥ずかしかったのか、照れたように顔を下に向けて小さい声でお礼を言ってくれるオスマンさん
とてもかわいらしい
そういえばセリスさんとオスマンさんはお互いのことを知っていたか怪しいと思い出し、まぁ知ってたら知ってたでええやろ!と紹介し合おうとして
後ろを向いたところ
そこには誰もいなかった
椅子を5度見くらいしたが絶対にいない
机の下も覗いたが居なかった。椅子の下にも。
困ったようにオスマンさんを見るものの、魔法の痕跡はないな、と言われさらに焦る一方だった
どうしよどうしよ、とパニックになった頭で、よしとりあえず大きな声で呼んでみるかという結論を0.7秒で出した
しかしその私の0.7秒よりも早く
オスマンさんがそう呼んだ
まぁ返事は帰ってこないんだけど
事態は思ったより深刻と捉えたオスマンさんが焦った顔をしながらそう言う
探し物、じゃなくて探し者の時にはロボロさんが最適解だって知ってしまった私は、オスマンさんの足手まといにならないようそう提案してみたが、彼の少し大きな声で言われた否定に面食らう
オスマンさん自身も自分の大きな声に驚いたのか、口元を抑え、
よく聞こえないが凡そそんな感じのことをモゴモゴしながら言ったかと思うと、
ドン
と大きな音が聞こえ
オスマンさんが呻いた
素早い速度で振り返り、自分を殴った相手の手を捕まえるオスマンさん
何故か冷静になった私は、さすがだなぁとぼんやり考える
詰め寄ろうと低い声を出したオスマンさんだったが、その声はみるみるうちに萎んでいく
何事か、と後ろを覗いて見てびっくり
そこには真っ赤な顔をしてプルプルと震えるセリスさんがいた
思わずため息が出たが仕方がない
オスマン様はイケメン!なんちゃらかんちゃらみたいなことはなんか聞いたことある気がするからいいにして、飛び出すって何よ飛び出すって
あと力加減よ問題は。ミスんなまじで
私が黙っているのに不安になったのか、弁解を始めるセリスさん
所々早口になっているのはオタの悲しき性ってことだろうか
私の口を塞ぎにかかるセリスさん
しかし、セリスさんの為に絆創膏(強く掴んで爪で怪我させちゃった)
を探しに行っていたオスマンさんが幸か不幸か丁度帰ってきた所で
そしてお察しの通り、彼の性格だったらこうやってニヤニヤしながら意地悪の一つや二つくらい言うわな。
そんなことを言われて、セリスさんは爆発寸前だ
私のその言葉にさらに顔を赤くしたセリスさんは、
とモゴモゴさせ始めた
そんなセリスさんの手を優しく取って絆創膏を貼るオスマンさん。
セリスさんが小さく
みたいなこと言っているが、オスマンさんは無視しながら張り進める
そう言ったオスマンさんは絆創膏を貼り終えると、ポケットから徐に小さな花を取り出し、片手の手袋を外してその花に触れ、ガラス細工のように透き通った花を生成した
瞬間、目を輝かせるセリスさん
しかしオスマンさんがその花を差し出した所で彼女の顔が硬直する
そんな言葉を真正面から受け取った彼女は、
ギギギ、とまるで錆びた機械のように動き、花を受け取ったと同時にものすごい速さでその場から走り去った
何が逃げちゃった〜だ
自分の顔の良さを理解している人はこれだから害悪なのだ
彼に人生を狂わされた女は両手で数え切れないだろうな、と考えると悪寒が走る
可哀想に、セリスさんもその1人か
セリスさんが走り去った方を見ながらそんなことを考えていると、オスマンさんが視界に入ってきて、何やらモジモジし始める
オスマンさんは少し考えると、やはりガラス細工のように透き通ったバラをどこからか1輪取り出し、私に渡してきた
そう私が言うと嬉しそうにするオスマンさん
渡そうと思っとったんよ、なんて可愛いことを言ってくれるから、つい頬が緩む
そう言ってバラの花を見つめる。オスマンさんは少し驚いた顔をした
そして私がそう言うと、オスマンさんはびっくりしたようにあんぐりと口と目を見開き、その後すぐに腹を抱えて笑い始めた
わけがわからず焦る
しばらく経って、ようやくオスマンさんが話せるようになってから、私はオスマンさんに詰め寄る
またクスクス笑うオスマンさん
少し怒ったようにそういうと、
そうニコって微笑まれる
いや別に可愛くないけどね?













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!