さっきまで散々からかわれたうえに、
マイペースな言動に振り回されている
小柳先輩がどうしようもなく
おもしろく感じる。
それはたぶん、いつも冷静でクールに見えるから。
その表情がよく変わることが新鮮だから。
そんな小柳先輩に、
抑えきれなかった笑みをこぼしながら
自分のスマホを取りだす。
そう言って、少し加工の入った
カメラアプリを起動する。
お気に入りのフィルターに設定して、
スマホをちょっと高い位置に掲げて
私たち3人がしっかりと映るように。
そして傾きかけた日を浴びて、
輝くような笑顔を画面に向ける。
私は、撮ったばかりの写真が
映し出された画面を自慢げに2人にみせる。
その画面は、光を受けて
きらきらと反射する。
そのきらめきは、
日の光のせいだけではないはず。
シャッターを切った瞬間。
たしかに私たちのあいだに
きらきらとひかるまばゆい光があった。
それは、いつだって
途切れることはないはずだから。
と、ほぼ無意識に発した言葉に気がつく。
写真を送る、ということは連絡先を
知っている必要があるのだ。
まだ、小柳先輩と連絡先を
交換できていなかったことを思い出す。
「はい」と、言う小柳先輩の声と
画面に表示された、
トークアプリのQRコードが目に入る。
急な出来事にあたふたしながらも、
そのQRコードを読み取って
“友だち”になる。
まだ、”連絡先”という一言で
言えるようなものでしか繋がれないけど
いつか、ちがうもので繋がれたのなら。
そう、ささやかな願いとわがままを
こめてスマホの画面を見つめる。
連絡先も無事に交換できたところで
お兄ちゃんたちは友達の方へ戻って行った。
と、お兄ちゃんはぶんぶんと
大きく手を振って、
小柳先輩はひらひらと手を振ってくれた。
それに応えるように
2人に笑顔で手を振りかえす。
私も、のぞめるのところに戻ろう、
と思ってくるりと後ろに振り返る。
…目が合ってしまったと思って
すぐさま目を逸らす。
でも、もう遅かったようで、
にやにやした2人がこっちに向かってくる。
そんなこんなで、
のぞめるに2回も詰められ、
小柳先輩とちょっと近づけた気がした
体育祭が終わったのだった。
お久しぶりです〜🥲更新してなくてごめんなさい🙏🙏
久しぶりなので読み返したりして楽しんでいただけるといいな🥹












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。