俺はその様子を一瞬だけ見てから
ベッドの横に腰を下ろした。
勝利は天井を見たまま答える。
俺はそれを聞いて頷いた。
少し間が空いてから
勝利がポツリと言う。
俺はすぐには返さなかった。
あなたの寝顔をもう一度だけ見る。
それから低く答えた。
勝利が小さく笑って
その言葉に勝利は何も言わずに目を閉じた。
俺はしばらくその場に座ったまま
二人の様子を見ていた。
毛布をかけられて眠るあなた。
ベッド上の勝利は
目を閉じているけど眠れてない。
小さくため息をついた。
ご飯も食ってない。
それも今日だけではなく
疲労も抜けていない。
この状態でまともに眠れるわけがなかった。
持ってきたバッグを静かに開けた。
音を立てないように。
でも、勝利はその気配気づいて目を開ける。
勝利は視線をそらす。
勝利はそれから何も言わなかった。
それが答えだと俺はわかっていた。
だから静かに続ける。
俺は勝利の腕をそっと取る。
少し触ったが
全く血管が浮いてこない。
皮膚が乾いている
勝利は目を閉じたまま答える。
俺は血管の走行をもう一度確認する。
指で軽く押して位置を定める。
針が入る。
勝利の顔が一瞬はっきり歪んだ。
声は出さない。
慎重に角度を調整する。
…入った。
俺は小さく息を吐く。
勝利は目を閉じたまま小さく肩を落とした。
点滴をつなぎ、滴下を確認する。
速度を調整しながら俺は続ける。
勝利はかすかに頷いた。
俺は点滴ラインを固定してから
もう一度あなたを見る
まだ眠っている。
そうあなたの頭をそっと撫でてから
俺は椅子に腰をおろし静かに腕を組んだ。
点滴の落ちる音とと
勝利の呼吸を聞きながら。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。