篠塚side
今日は3人だけのダンスレッスン。
周杜はいつも通り軽く腕を回して位置に入っていた。
軽口も動きもいつもと変わらない。
少なくとも、ぱっと見は。
音が止まった後、将生がふっと眉を寄せた。
なんてことない感じで返事する周杜だが
確かになんか様子がおかしい。
俺は何も言わず少しだけ距離を詰めた。
顔色、額の汗、呼吸の浅さ。
そう周杜は即答して位置に戻る。
でも、次の通しの途中で。
一瞬だけ動きが遅れ、ぶつかりかけた。
周杜はこめかみを軽く抑えてすぐに笑った。
そんな周杜の様子を見て
俺と将生は視線を交わす。
と将生が言うと周杜が目を丸くした。
周杜は深く考えない様子でタオルを首にかけた。
帰り道。
と即答する周杜。
それ以上俺も将生も体調に関しては
何も言わなかった。
ただ、周杜の歩くスピードがいつもより半歩遅いのを見ていた。
家に着いて、靴を脱いだ瞬間だった。
周杜がいきなりポツリと呟く。
今度は将生が無言で近づいて周杜の額に手を当てた。
周杜の冗談めいた口調に淡々と返す将生。
そう言いながらも周杜は素直に従った。
そこでようやく周杜の顔から余裕が消えた。
将生が肩を支える。
なんて言いながらもソファに座った途端
周杜は一気に黙った。
普段はめちゃくちゃうるさい人が
こんなに黙っている。
それだけで十分すぎるほど嫌な予感がした。
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!