« 魔法の森 霊夢side »
紫はまるでこうなることを予測していたかのように淡々と語る
こういう時まで落ち着いているのが本当に癪ね
嫌よ、そんなことは考えたくない
紫は嫌という程此方を真っ直ぐ見ている
もう何を言いたいか予想が着いてしまうほどに
私が否定の言葉を口にすると紫は呆れたように後ろを向いた
そして振り返ることなく言った
残念だなんて思ってないくせに
紫は振り返らない
すると空間に切れ目が入り、スキマが開いた
私が黙って紫に続こうとするとスキマまであと一歩のところで紫は突然こちらを振り返った
と言っても目線だけが此方を向いている、程度だけど……
そう言ったきり、紫は歩いていってしまった
スキマが開きっぱなしの辺り、私が暫く動けないことも全て予測していたんでしょうね
本当に腹が立つ、あのスキマ妖怪……!
魔理沙が幻想郷では無い、他の世界に行ってしまったら幻想郷に直接害がない限り優先順位は大幅に下がる
紫が動くかだって確かじゃない
でも幻想郷から出て、探す方法なんて、アイツに頼るか、パチュリーの所で魔導書を読み込むくらいしかない
それだってできるか分からないし、確定じゃない
もうほぼ諦めないとダメなのよ
でも……それじゃあ納得いかない
居なくなって清々する……?いつもの私ならそう思うかもしれないけど、今はどうしてもそうは思えない
気づいたら紫が目の前に居た
改めて言わないでよ、考えないようにしてたのに
スペシャリストなら、自力でどうにでもできるでしょ
絶対戻ってきなさいよ
私も全力で方法を探すから!
あんたなら余裕でしょ、魔理沙!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!