【sangwon ver.】
期待、していた。
ニムに好きな人がいるという事。
ニムは正直表情に出やすい。
照れている時は特に。
初めて会った時の表情は消えていた。ただずっと遠い何かを見つめている、っていうだけで。
きっと何かあるんだろうって思って、声をかけた。
あのときは笑って誤魔化していただろう。だけどどこか寂しそうで。放っておけなくなった。
目を離した隙に消えてしまうのではと思って。
到底、デビューには程遠い。むしろデビューしたところで、本人が楽しめるかって。
でも違った。
話しかける度に少しずつ本当の笑みも浮かび上がって、今では普通に会話ができる。
ダンスは案の定自信無さげで。だけどあの 緊張ほぐし
で、一気にパッと変わった。その表情はとても可愛らしかった。パフォーマンス本番でも明るく振る舞い、誰よりも目立つほどだった。
ニムの表情に、目に焼きついた。
笑うとこんなに違うんだって。
笑う時も、顔を赤らめる時も、寝ている姿も。
可愛くてたまらなかった。でも俺は表には出さない。
デビューする目的である事を目印に、忘れたくないから。強い意志と戦おうとずっと前から思っていた。
そんな必死になってる俺は。
今、すごく落ち込んでいる。
フラれた感があって。あのとき絶対、アンシンの事を考えてたんでしょ。
だって一緒に話してたから。
…そっか、ただ俺は勘違いしてたんだ。
きっとこれは、人生で“初の失恋”だ。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。