ボクは、返事を返した。
だけど、受け入れる返事をしたのは、1人だけ。
返事をしてしばらくして、ボクの家の扉が開いた。
そう、ボクが受け入れたのは、なかむ。
なかむは、返事を受けてすぐ家に来て、ボクのことを強く、強く抱きしめた。
立場の隔たりが無くなった今、まだ躊躇いはあるものの、なかむを1人の家族として受け入れた。
なかむも、すっかり心の準備は整っていたようで、ボクとの生活を急かす程だった。
何もかもがハイペースで進んでいくのに戸惑っているボクを見ながら、1度、なかむは膝を着いた。
...まるで、目の前にいるなかむは、ボクを迎えに来てくれた、王子のようだった。
そう言って開けたのは、プレゼントで貰ったものよりも輝かしい、水色の宝石があしらわれた指輪。
ボクから初めて、なかむに飛び付いて押し倒した。
ボクがその言葉を理解する前に、なかむはボクと顔の距離を詰めた。
少しなかむの顔が離れて、唇に柔らかい感触がしたのを理解すると、一気に顔に熱が帯びた。
しばらくして、ボクたちは愛の契約をした。
そんなボクたちには、特別な習慣が出来た。
...それは、
なかむが一緒にいない時、その日の行動を1から説明すること。
なかむの専業主婦になって、大体は一緒にいてくれるけれど、出掛ける予定がある時だけだけど。
なかむは、ボクのことをすっごく大事にしてくれている。
ボクのことを考えて、住む場所も考えてくれたし、...子供のことだって、将来を考えて、今は保留してくれている。
こうやって、抱きしめてくれる暖かさも、なかむにしかない優しい匂いも、ボクも、全部が大好きだ。
ボクはなかむの為に、サプライズを用意した。
なかむを机の椅子に座らせ、ボクは満を持して冷蔵庫からとあるものを取りだした。
本当に、スポンジからクリームまで、デコレーションも、ボクが1から何もかもやって、作ったケーキだ。
なかむのために、と考えながら作ったケーキだ。
なかむは目を輝かせながら、小さなパーティの準備をしてくれた。
なんと、ボクのケーキを1口食べた瞬間、感極まったのか、なかむさんは泣き出してしまった。
なかむは、時々真顔ですごいこと言うから、こちらまで照れてしまうものだ。
これからも、なかむと共に人生を歩むつもりだ。
_End














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。