⚠️異能技師捏造注意
福地源一郎 side
友が居なくなってからの数ヶ月 、
特に任務で失敗する事もなければ 、
反抗する事も以前と同様……する筈無かった 。
彼奴の云う通り 、
俺は既に人を嬲る事を迷わない 、
我ながら見事なまでに真っ直ぐな太刀を奮う 。
其処も変わらなかった 。
だが只一つ 、変化があった 。
相手の攻撃を寸でで避ける……
其の行為が意味するのは 、敵への嘲笑でも 、
躰が上手く動かなくなった訳でも無い 。
只 、思うのだ 。
『 嗚呼 、此れに中ったら死ねそうだ…… 。 』
『 若し此れで死んだら彼奴等は如何思うだろうか 。 』
『 そうだ 、貴重な被検体を失った
上層の顔はさぞ見物だろう 。 』
其れに何より 、
『 死ねれば 、此のうざったい思考を止められる 。 』…
其れ等を脳裏に過ぎらせ 、
避けて斬ると同時に思考を断つ 。
此れが疲れる行為だと自覚はしているが
如何も辞められない 。
…だからだろう 。
” 異能力による身体強化手術 ” の案内が
記された紙 、其奴が俺の手元に或る……
如何やら俺は 、もう用済みの様だ 。
手術台の上…
数個の光が俺を照らす 。
其の強い光に慣れた頃 。
一人の技師が真っ直ぐと向かって来 、俺の横に立つ 。
掌を自身に向け 、他に触れない様にされた手を見る 。
其処迄は技師らしかった 。
だが顔を見ると 、技師は泣きそうな顔で
俺を見下げていた 。
年齢に見合わぬ枯れ木の様な声でそう問うと 、
技師は目を瞑り頭を横に振った 。
嗚呼…此奴ももう限界か……
技師は口端を引き攣り 、
焦点の合わない目で俺を捉える 。
彼は近くにあった椅子にフラリ腰掛けた 。
「 たった 」なンて野暮な事は云わん 。
椅子から立ち上がり 、再び俺を見下ろす 。
其の瞳に一切の迷いは無く 、
静かで 、然し激しく…早朝の浜の様な心地良さだった 。
何処かの狼にそっくりだ 。
彼はふんわりと笑った 。
其れに加え 、久しぶりに気分が善い 。
此れだ此れ 、「 清々しい 」って奴だ 。
死の間際に味わう事になろうとは……
英雄らしくて大層好ましい!
……参ったな 、此奴ぁ本当にアレにそっくりだ 。
そうして手術は始まった 。
俺は別に今死んでも本当に構わない 。
なんなら最高の死だろう 。
そう胸を張って云える結末だ 。
……だが天は 、俺を裁定する準備が
未だ出来ていないらしい 。
起き抜けに耳を突くのは 、
技師の遠慮無しの声量と彼の腕が何かに引っかかって
物が床に散らばる音だった 。
流石の俺でも此れはキツイぞ 、阿呆ぅめ 。
だがおいおいと泣き乍ら散らばった物を
元の位置に置く姿は中々滑稽だ 。
先程のユニークなアラームは赦そう 。
また 、あの地獄に戻るのか 。
恐らく上も 、
成功するなんて思ってもみなかっただろう 。
…目の前で 、笑顔の花が咲いた 。
だが其れと同時に此れは 、
コスモスが散る事を意味する 。
誰も予測出来ない人間兵器が生まれると云う事は 、
そう云う事なのだ 。
此れから俺は 、此奴は 、世界は 、
如何なるのだろうか……?
次回 「 神の遣い 」
【 一寸訂正 】
夢主くんが十歳位の時には
既にドスとゴーは組織に居た事になってますが 、
矢っ張り無しにさせて下さいすみません 。
神威を抜いた天人五衰がストレイドッグスに
加入したのは本編スタート年から約二年前って事でお願い致しします🙏











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。