第8話

#6「 神の遣い 」
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2026/01/01 06:17 更新






其れから数ヶ月 、強化された肉体は
恐ろしく簡単に『 兵器 』の役を全うし続けた 。








人狼の個性保持者の近親婚による多数の暴走体の殲滅 。


難民虐殺を企む組織の破壊 。


半不死異能者 ” WASP ” の実験協力 、
及び不眠不休の決闘 。








二度と癒えぬ傷を負いつつも 、どれも大した事は無い 。
本物の『 兵器 』だ 。





異能技師
一ヶ月振りですね 。
異能技師
…もう 、貴方の躰を弄るのは
慣れたものです 。






……とか云っている此奴は只の痩せ我慢だ 。
本当は怖くて仕方が無い事位識っている 。








だから何時も云う「 俺は悪だ 」と 。
そうしたら返される 、「 私は平等ありたいです 」
と……








もう其れは定番で 、決まり言葉で 、
似合わぬ倖せを産む 。








だが最近 、奴はこう返す様になった 。





異能技師
……其れでも 、其れでも貴方は 、
私の ” ヒーロー ” ですから 。笑






未だ 、俺は此れに「 そうか 」としか返せていない 。









或る日の夜だった 。
徐々眠りにつこうとした其の時 、
部屋の扉が叩敲ノックされた 。








こんな時間に誰だと溜息を吐く 。
其れを部屋に置いていき 、
以前は重く感じていた扉を躊躇無く開ける 。





???
今晩は 、善い夜ですね 。



福地源一郎
…誰だ?






否 、本当に誰?





???
そうですねぇ……






やたら色白に見える其奴は思考する仕草をする 。
実際に思考しているのかは定かでは無いし 、
抑々興味すら湧かせて貰えない 。





魔人
『 魔人 』…
とでも呼んで貰いましょうか 。






薄ら笑みが暗い廊下に不気味に浮かぶ 。








厭な奴だな 、
本能的に此奴の凡てを否定したい気分だ 。
否 、気分…と云うより行動か 。
「 すべき 」と云う事か 。








何時かの為に盗んでおいた短刀なら引き出しの中だか 、、、、、、





福地源一郎
( 此奴の能力は何だ… )






此の肉体を授かっているのにも関わらず 、
此奴を倒すイメージが湧かない 。





魔人
嗚呼 、そんなに警戒なさらないで 。
僕は貴方の ” 味方 ” です 。



福地源一郎
……味方だと…?



魔人
えぇ 。
貴方を此処から連れ出す…

魔人
…心あたり 、有りませんか?






……若しや 、福沢か 、、?





魔人
心中り 、有る様ですねぇ?






福沢は俺を扶ける準備を 、
此の一年間していたと云う事か……?








そんな昔から心強く 、優しく 、不器用な唯一の友を…
俺は 、俺は…………!!





福地源一郎
( 嗚呼!福沢は俺を
見捨てちゃいなかった…!!
あんな偽善者俊典とは違う!!)






懐かしい友の顔を思い出す 。
そして次に頭に浮かんだのは……





福地源一郎
…!



魔人
如何かされました?



福地源一郎
嗚呼 、技師殿も出来れば…
福地源一郎
否 、絶対だ 。
絶対に彼奴も連れて此処を出る 。
福地源一郎
如何にかならんか 。



魔人
技師…?






其奴は記憶を探る様に目だけで上を見回す 。





魔人
嗚呼 、そう 、技師………
彼が居ないと貴方は
生きられませんでしたね 。



福地源一郎
俺が如何とかは問題では無い 。






此の一言が大層気に入ったのか 、
其奴は目を細め嗤った 。





魔人
えぇ 、えぇ 。
貴方はそう或るべき人です 。笑



福地源一郎
…一応礼は云っておく 。
が 、………






ずっと立っているのもなんだろう 。
俺は背の低い机の前に座る 。





福地源一郎
お前さんは其の全体的に判り難いの 、
如何にかしたら如何だ?
此方の思考が疲れるのだが…



魔人
おやおや 、
僕に怪しい点なんて無いですよ 。笑



福地源一郎
ハっハっハっ!笑












福地源一郎
嘘を吐け 。
” 技師殿について何故識っている? ”



魔人






机は引き出しがついている種類タイプだ 。
そう 、 ” 引き出し ” ………… 。
短刀が入っている引き出しだ 。








俺はカタリと引き出しを引き 、
中に或る其れに手を掛ける 。








全く 、危うく流される処だった 。





魔人
他人ヒトよりモノを識っているだけ…
と 、云いましょうか……
魔人
ですから其の物騒な物短刀
辞めて頂けません……?



福地源一郎






莫迦め 、其れを云われて離す奴が居たものか 。





魔人
僕は今気分が善い 。
貴方の事も高く評価している 。
魔人
貴方も彼も僕が居なければ
此処から出られない 。
永遠の地獄です 。

魔人
……其れと貴方 、
僕に勝つイメージ 、出来てます?



福地源一郎
無論 。
お前が此の部屋に入ってきてから今迄 、
一度たりとも出来ていない 。



魔人
其れは其れは……笑






両者 、睨み合いが数秒続く 。





魔人
部屋に自分より実力が上の者が居た場合 、
弱い者は強い者に従います 。
貴方はよぅく其れを理解している筈です 。



福地源一郎
…本当に連れ出して呉れるんだろうな?



魔人
貴方だけは確実に 。
技師の方に関しては
手扶け位はしてあげましょう 。



福地源一郎
……まぁ 、して呉れるだけ有難いか… 。



魔人
其の通りです 。






せめて信頼のおける様な面構えの奴が良かったが
今は此奴を頼るしかない 。
此の好機チャンスを逃す訳にはいかないだろう 。





福地源一郎
一応訊いておくが 、
誰の差し金だ?



魔人
ふふ 、只の気紛れですよ 。



福地源一郎
……そうか 、






今更だが 、福沢じゃあなかったか 、、、





魔人
何を哀しい顔なさっているのですか?
此れから自由に成れると云うのに…



福地源一郎
……
 


魔人
…失敬 、
其れは僕の識るべき処ではありませんね 。






変な処では気を遣う 。
此奴 、顔からしても日本人じゃあないな 。





魔人
傷心中の処済みませんが……
もうあまり話している時間は有りません 。
疾く此処から出ましょう 。
魔人
日本で云うと……
魔人
『 善は急げ 』 、ですか?笑



福地源一郎
………お前 、本当に気味が悪いな 。



魔人
其れは如何も 。笑






嗚呼本当に気味が悪い 。
此奴に着いて往く事も 、先ず此奴が此処に居る事も……
悪いが此奴の存在自体が
背筋をずっと撫でてくる様で気色悪い 。





魔人
嗚呼後そうです 。
貴方の保護先は
宛が或るので心配なさらず 。笑



福地源一郎
保護先…?



魔人
えぇ 。
僕が傍に居る間は特殊な妨害で
其の躰に埋め込まれたGPSは
機能しません 。
魔人
が 、当然何時迄も貴方と
一緒に居る訳にはいきませんので 。
魔人
GPSは其の保護先の人間に
外して貰って下さい 。



福地源一郎
承知した 。



魔人
其れでは 、
貴方に神の御加護があらん事を…






其れから此奴は驚く程スムーズな案内をしてみせた 。








当然其れでも警戒は解かなかったし 、
触れさせもしなかったので 、
死角からの攻撃 、意識外からの攻撃でない限りは
此奴の罠には掛からなかったであろう 。







因みにご察しの通り 、
保護先とは闇医者と其の妻(?)と其の用心棒と其の居候
だった 。泡吹いて倒れるかと思った 。








一言文句を云ってやろうと振り返ると其処には
誰も居らず 、礼すらも云わせて貰えなかった 。








其の後は福沢とギスギスしたりまぁ色々あった 。
其のまた後は識っての通り 。








然し気がかりなのは
公安・政府に残された他の異能者だ 。
一度種田に出会ったものの其れは疾過ぎる再会で 、
実行には移せなかった 。









だが運命とは突然訪れる 。
我々の時計は時を経て 、偶然と必然の上 、
漸く動き出したのだ 。









次回 「 運命の時計針たち 」









【 +α 】
〜 結局ドスくんは何だったの〜〜??? 〜


只のマジの気紛れです 。
ですが福地と云う圧倒的な人間を失うのは異能力者
として痛手だし 、手を貸しておくのも悪くないっていう
只の未来投資ですね 。





ぬっし
いや〜年明けちまいましたね 、
今年はわん!2期があったりと楽しみな事は多いのですが受験…あるんですよね 、、!来年度 、!!
ぬっし
取り敢えずの辞める宣言から早1年経ってる癖して全く終わってないの笑えません 。歳をとってる事実も笑えません 。
ぬっし
3月までに成る可く終わらせるべく更新頑張る心算ですが多分無理ですだって私だもの 。
ぬっし
本日で此の過去編は終了させます 。
詰まり本日は2話分投稿ヤッタネ!!
ぬっし
其れでは皆様善い1年を!





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