甘かった。
私は本当に、甘かった。
胡蝶さんの屋敷に泊めてもらった次の日。
帰ってきた冨岡さんに来いといわれた。
いよいよ、弟子になるのか。
期待と不安が入り交じっている。
怖い、でも少しワクワクもあるような気もする。
私が人のやくにたてる。
それだけで、嬉しい。
だから早く一人前に_____________
そう思っていた。
急に山に連れてこられた。
そして冨岡さんは言った。
“昼までに降りてこい”
と。
…そんな無茶な。
そんな、急に、何故。
色々聞こうと思った。
そのときにはもう
冨岡さんはいなくなっていた。
私は覚悟を決めた。
覚悟を決めた私は、急いで降りる事にした。
とりあえず走るしかない。
そう思い、何も考えずに走っていた。
しかし___________________
上から何か降ってきた。
考えている暇もなく、また何かやってきた。
そして私はさとった。
これは「罠」だと
分かってからはその障害物を避けるのに一生懸命だった。
障害物は上からだったり横からだったり。
しまいには落とし穴があったり。
早く走るなんて無理だ。
何時間走ったことか分からない。
するとなんとなく、障害物がくるという「空気」を感じとることが出来るようになった。
本能なのかもしれない。気のせいなのかもしれない。
でも
それに頼るしかないんだ。
やっとついた。
私はそこらじゅう傷だらけで、泥まみれだ。
髪もボサボサ。凄い状態だ。
すると、そこにはすました顔をした冨岡さんがいて
と聞いた。
罠とかあって、久々に走って………
色々言い訳しようとした。
すると
静かな冨岡さんが大声を出した。
じゃあ、何を________________
そう冨岡さんは言い切ると私をじっと見つめてこう言った。
彼の顔はいつもにまして真剣だった。
答えは、1つしかなかった。
そう言うと少し満足げに
と言った。
それから毎日その練習があって
プラス刀の使い方や受け身のとりかたなど
も教わった。
お世辞にも優しいとは言えなかったが
少しありがたいような気がした。
休む暇もなかったから
家族のことをかんがえずにいられた。
これからはうじうじとしない。
命を無駄にしない。
だからみんな、見守っててね
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。