第7話

稽古
973
2019/09/25 12:48
甘かった。


私は本当に、甘かった。
あなた

え、うそでしょ……。こんなに辛いなんて…。

胡蝶さんの屋敷に泊めてもらった次の日。
帰ってきた冨岡さんに来いといわれた。
いよいよ、弟子になるのか。
期待と不安が入り交じっている。
怖い、でも少しワクワクもあるような気もする。
私が人のやくにたてる。
それだけで、嬉しい。
だから早く一人前に_____________






そう思っていた。
冨岡 義勇
冨岡 義勇
…おい、もっと早く走れなかったのか。
急に山に連れてこられた。
そして冨岡さんは言った。

“昼までに降りてこい”
と。
…そんな無茶な。


そんな、急に、何故。


色々聞こうと思った。


そのときにはもう


冨岡さんはいなくなっていた。
あなた

もうやるしかないんだ。やるしか。

私は覚悟を決めた。
覚悟を決めた私は、急いで降りる事にした。
とりあえず走るしかない。
そう思い、何も考えずに走っていた。

しかし___________________
あなた

いったっ!

上から何か降ってきた。
あなた

なんだろ……ってうわっ!

考えている暇もなく、また何かやってきた。
そして私はさとった。
これは「罠」だと


分かってからはその障害物を避けるのに一生懸命だった。
障害物は上からだったり横からだったり。
しまいには落とし穴があったり。
早く走るなんて無理だ。




何時間走ったことか分からない。
するとなんとなく、障害物がくるという「空気」を感じとることが出来るようになった。
本能なのかもしれない。気のせいなのかもしれない。


でも

それに頼るしかないんだ。



あなた

はぁ、はぁ、はぁ

やっとついた。
私はそこらじゅう傷だらけで、泥まみれだ。
髪もボサボサ。凄い状態だ。
すると、そこにはすました顔をした冨岡さんがいて
冨岡 義勇
冨岡 義勇
…おい、もっと早く走れなかったのか
と聞いた。
あなた

……えっと…そ

冨岡 義勇
冨岡 義勇
遅い!
罠とかあって、久々に走って………

色々言い訳しようとした。

すると

静かな冨岡さんが大声を出した。
冨岡 義勇
冨岡 義勇
判断が遅い。話すのが遅い。あと、俺が聞きたいのは言い訳じゃない。
あなた

………………っ!

じゃあ、何を________________
冨岡 義勇
冨岡 義勇
今のお前にできるのはそれだけなんだ、あなた。それじゃあ鬼を殺す事も、人を救う事も出来ずに、無駄に死ぬ。
そう冨岡さんは言い切ると私をじっと見つめてこう言った。
冨岡 義勇
冨岡 義勇
お前は、人を救いたいんだろう。自分のような人を減らすために。だったらもっともっと辛いことをいっぱいしなければならない。それができなければやめろ。出来るか?
彼の顔はいつもにまして真剣だった。

答えは、1つしかなかった。
あなた

はいっ!やってみせます。

そう言うと少し満足げに
冨岡 義勇
冨岡 義勇
分かった
と言った。





それから毎日その練習があって
プラス刀の使い方や受け身のとりかたなど
も教わった。
お世辞にも優しいとは言えなかったが
少しありがたいような気がした。
休む暇もなかったから
家族のことをかんがえずにいられた。

これからはうじうじとしない。
命を無駄にしない。
だからみんな、見守っててね



プリ小説オーディオドラマ