第3話

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2024/02/29 06:00
You side
再び目を覚ますと其処はタオルケットを被り幼児達が並んで眠っている広々とした空間

早速転生特典の1つである前世の記憶の引き継ぎが出来ていることを確認し、新しく生まれ変わった私の記憶を辿ってみる



先ず私の名前は元獣げんじゅうあなた、年齢は本日3歳の誕生日を迎えたピチピチの女児だ

そしてこの世界には“個性”という名の超能力が存在し、地球上の総人口の約8割が個性を有している

個性の内容は遺伝で決まることが殆どで、両親の何方かの個性を引き継いだり、両方の要素を兼ね備えたり、はたまた新たな個性を持って生まれることもある

そんな個性は大体3歳から4歳に掛けて発現し、発現しているかわかりにくい個性でも専門医に掛かれば保険適用内で調べて貰える



そして私の前世とほぼ同じ地形や歴史を持つこの世界には個性社会ならではの人気職業がある



それが“ヒーロー”



個性を悪用して罪を犯す“ヴィラン”から街を守る警察官の上位互換みたいな存在だ

世間の扱いで言ったら前世で言うところの仮面ラ◯ダーとかプリ◯ュアに近い感じとも言える

要は性別関係なく子供の心を鷲掴みにしているとだけ覚えておけば問題ない
保育士
あらあなたちゃん、もう起きたのね〜
そして今は保育園にてお昼寝の時間の真っ只中

早目に起きた私が周りを起こさない様にと話し掛けてきたこの保育士さんは、私達年少クラスの担任をしている人だ

因みに私の年少クラスは星組で、年中クラスは月組、年長クラスは太陽組という名前になっている
保育士
じゃあ皆が起きるまで先生とお部屋で遊ぼっか
あなた
はぁい
今迄の私らしく、子供らしく返事をして、保育士さんに手を引かれて星組の教室へと向かう

そして画用紙とクレヨンを使って絵を描き時間を潰していく
保育士
今日であなたちゃんも3歳になったし、どんな個性なのかワクワクしちゃうね〜
あなた
うん
優しい笑みを浮かべながら話し掛けてくる保育士さんに、少し舌っ足らずな返事をして同じく笑みを向ける



楽しみと言えば楽しみだが個性の内容はもうわかりきっているので、後はどのタイミングで試してみるかだけだ

取り敢えず今日から帰ったら家で個性が使えるか試してみようかな



因みに私が死神さんに頼んだ個性という名の超能力は2つある

1つは名前を呼ぶと推しが喚べ、技名を口にすれば推しの能力が扱える“二次元パラレル

もう1つは推しの髪型と服装に一瞬で変身出来る“仮装コスプレ”だ

コスプレの個性に関しては本当にただ変身すふだけなのだけど、推しの能力使う際にどうせならコスプレもしたいよねって言う私の好みで追加して貰った



序でに言うと父親の個性は“変化へんげ”と言い、現存している動物に身体の一部や全身を変化させることが出来、その動物の特徴を手に入れる

そして母親の個性は“夢枕ゆめまくら”と言い、人を眠らせその夢に干渉する事が出来、この前父親の誕生日にサプライズを仕掛けるべく夢で打ち合わせをした
保育士
動物のお耳が生えてるからお父さんと同じ個性かな〜?
それと単なる遺伝的な容姿で意味のないものなのか、はたまた死神さんの裁量で足された第3の個性なのかわからないが、何故か私にも獣耳と9本の尻尾が生えている

髪色と言うか毛色が紺色なのでわかりにくいが、父親曰く狐であろうとのこと



まあこれに関しては検査すればいいや
保育士
それにしてもあなたちゃんって絵が上手だね〜!
保育士
この女の子も凄く可愛い!
同年代に比べて比較的口数が少ない私にそう言って話題を探そうと画用紙を指す保育士さん

きっと将来のことを考えて社会性を身に付けようと頑張ってくれているのだろうけど、精神年齢のせいで子供らしい振る舞いが出来そうにないだけなんですごめんなさい
保育士
この子はあなたちゃんが好きなアニメの子とか?
保育士
先生わからないから教えて欲しいな〜
あなた
えっと……
取り敢えず聞かれたこと位は答えよう

そう結論付けて最早資料を見るまでもなく描ける様になった推しのことを語ろうとする
あなた
この子は、三条宗近が打ったとされる刀の一口ひとふり
そう我等が刀剣乱舞の愛しの短刀いまつること今剣

前世で私が始めて鍛刀した子でもあり、勿論満遍なく育成していたが特に力を入れていた子の一口だ
あなた
源義経の手に渡った後に、義経が自刃の際用いた守り刀として
史実を思い出しながら幼い故に上手く回らない舌で如何にか説明しようと頑張る私のことを微笑ましい目で見る保育士さん

雰囲気からして内容は重要じゃないのか、恐らく理解していないであろう感じはするがまあいいや



一先ず語り出したからにはうちの子の愛を一度全て吐き出そう
あなた
義経紀に記録された、“今剣いまのつるぎ”って言う短刀の擬人化で__
拙いながらも続けてこの可愛らしい子は女の子ではなく男士だ
あなた
凄く頼りになる私の大好きな男士なんです
そう言い切ると
 


















 
今剣
はいっ!
今剣
ぼくがあるじさまのだーいすきな今剣ですっ!
 


















 
視界を遮る程の美しい桜吹雪と共に
 


















 
今剣
ちょくせつあうのはいちおうはじめましてですね、あるじさまっ!
 


















 
画面越しながらも聞き慣れた愛らしい声を鈴の様に転がし
 


















 
今剣
だいにぶたいたいちょう今剣
 


















 
静止画の一枚絵でもなんでもなく
 


















 
今剣
だいすきなあるじさまによばれて、さんじょうしましたっ!
 


















 
確かな存在として審神者の目の前に現れ
 


















 
あなた
カヒュッッッ
 


















 
実物を目にしたが故の過剰な尊さにより、容易く私の意識を掻っ攫っていった

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