第10話

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2019/06/30 14:03
遺されたものは、

あなたのいない世界をこれから生きていかなければならない。



それほど苦痛なものは無いと、信じられないぐらい大きな悲しみを背負って生きていく。






遺したものは、

もう会えない人への幸せだけを願って、
最期の時を過ごす。






誰かが死ぬということは、
誰も幸せになりません。





それでも、人である以上、人と関わり、別れがやってきます。






最期に思い出す人は、やっぱり近くにいて欲しい。





「やっぱり、娘の結婚は無しにしましょう。」

「なんでですか!?」

「社長には、あなたがなりなさい」

「え?」






娘よ。


ちゃんと幸せになりなさい。








もし、あなたが本当に結婚したくなったら、すればいいのです。

その時は、お相手が誰であろうと…




あ、出来るなら幼馴染2人でこれからもなかよくやっていって欲しいものですが…




まぁそんなことまで母親が口出しするもんじゃありません。






きっとあなたなら幸せになれます。




大丈夫。







会社のことなら心配しなくて良いし、
私はもう十分、幸せな人生を送ってきました。




今ではネットで冒険にも出られるんですから、ベッドの上だってへっちゃらです。




あんまり、気にせずに。











会社は、副社長に継がせます。

彼なら任せられます。









だって、私の初恋の人ですから。

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