遺されたものは、
あなたのいない世界をこれから生きていかなければならない。
それほど苦痛なものは無いと、信じられないぐらい大きな悲しみを背負って生きていく。
遺したものは、
もう会えない人への幸せだけを願って、
最期の時を過ごす。
誰かが死ぬということは、
誰も幸せになりません。
それでも、人である以上、人と関わり、別れがやってきます。
最期に思い出す人は、やっぱり近くにいて欲しい。
「やっぱり、娘の結婚は無しにしましょう。」
「なんでですか!?」
「社長には、あなたがなりなさい」
「え?」
娘よ。
ちゃんと幸せになりなさい。
もし、あなたが本当に結婚したくなったら、すればいいのです。
その時は、お相手が誰であろうと…
あ、出来るなら幼馴染2人でこれからもなかよくやっていって欲しいものですが…
まぁそんなことまで母親が口出しするもんじゃありません。
きっとあなたなら幸せになれます。
大丈夫。
会社のことなら心配しなくて良いし、
私はもう十分、幸せな人生を送ってきました。
今ではネットで冒険にも出られるんですから、ベッドの上だってへっちゃらです。
あんまり、気にせずに。
会社は、副社長に継がせます。
彼なら任せられます。
だって、私の初恋の人ですから。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。