家に帰っている途中で気付く
そんな顔されても仕方ないだろうが
北斗を追い掛けるのに必死で鍵なんて持ってきてる余裕無かったんだから
そう、だったんだ
と心の奥で寂しさを感じる
ついさっき結ばれて寂しさなんて感じる要素無いはずなのに
軽く指を絡ませてみるとノールックにも関わらず俺の手をしっかり捕まえて握られる
所謂、恋人つなぎってやつ?
セフレの時には出来なかったこと
だけど北斗とやりたかったこと
直接感じる体温は裸の時よりずっとずっと温かいもので、その温かさを知れたことに嬉しくなる
手を繋いだだけで喜ぶとか学生かよ…と案外単純な自分自身に思わず呆れてしまう
でも喜んでるのは俺だけじゃないって分かってる
だってコイツ手汗ヤバいし
北斗は空いている方の手で口元を押さえる
その手の端からは隠しきれていないにやついた口がのぞいている
もうその顔で分かる
これ面倒くさいやつだ
コイツ声でっっかとか思ってたら唇が既に触れていた
久々の北斗ととのキスに吐息が漏れる
唇からは相変わらず俺の好きな甘い匂いがした
本当に触れるだけ、一瞬だけだったけど空っぽだった心が幸せで満たされる感覚がする
意地悪くにんまり笑う顔は腹立つけどやっぱり好きで、それにまた腹が立つ
八つ当たりにちょっと小突いてみると「痛ぇ!」と言いながらも顔はニヤニヤしてる
………やっぱ腹立つ!!












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。