そう言いかけると、レインさんがふと立ち止まった
私がそういうとレインさんの表情は少し鋭くなる
レインさんは無言のまま止まってしまった
でも歩くことは止めず、ゆっくり、ゆっくりと隣り合って歩いている
偶々二人同時に本を見つけた。
レインさんの方が一足速く手を置いたので、
私が押さえるような形になっている。
咄嗟に手を離すと、
その手をぱし、と抑えられた
レインさんがこちらを見ている
ゆっくり、レインさんの顔が私の隣に近付いてくる
それはまるで、魔法のようにスローモーションに見えた。
少しずつ、丁寧に耳元で囁かれた
こんな感情は、初めてだった
私はもう、なにも言えなかった
そんな私を見かねたのか、
それとも冗談だったのか
レインさんは顔を戻し、手を離して
くるっとうしろを向いてしまった
レインさんの顔が赤かったのは、
窓から照らされる明かりのせいだったのだろうか











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。