外に出ると、すっかり頭上に登った朝日が木々を鮮やかに色づけていた。
そよそよと暖かな風が義勇の髪を撫でて去っていく。
その穏やかさに思わず眼がうとりと揺らぐのを感じて
かき消すように首を振った。
今朝、蝶屋敷に立ち寄ったことで疲れが出たのか、
呼吸を駆使しようが眠気に抗えない体たらくに
つくづく自分がただの人間であることを思い知らされる。
今晩も巡回とは他に鬼殺の任務が控えている。
夕暮れまでに体を回復させなければ、
万全な状態に戻さなければいけない。
街の角を差し掛かれば水柱の屋敷が見えた。
てちてちと足早に砂利道を渡り鍵のかかっていない
戸にかけた手がふと、止まる。
___中に何かいる。
ましてや陽光溢れる街中に、
柱の屋敷に忍び込む鬼など耳にしたこともないが。
では果たして何なのか確かめるために
手にかけた戸を弾く。
子気味よく開かれた視界の先には人がいた。
声を発した主は玄関前で三つ指を着いて
俺を迎えていた。
目元から下を白黒の線が交互に編まれた頭巾で覆い隠し、黒子のような装束に身を包み
低く下げられた背中には滅の文字が浮かんでいる。
その人物は紛うことなく、事後処理部隊__隠であった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!