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第62話

罪は消えなくても
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2025/05/03 05:48 更新






















ローレンの腕の中で、どこか迷っているあなた。


あなた
……ローレン。
ローレン
ん?

あなた
私……生きるためとはいえ、人を殺したんだよ。


あなたの声は どこか遠い場所を見つめるような響きだった。

あなた
罪は消えない。償わないといけないのに……私は、ローレンの隣で幸せすぎたよ。


ローレンは ぎゅっとあなたを抱き寄せる。

ローレン
確かに、お前は人を殺した。



あなたの身体が びくっと震える。

ローレン
死んで当然の奴らを。


ローレンの言葉に あなたが顔を上げる。

ローレン
俺は知ってる。お前が警備部隊や一般人には 絶対に手を出さなかったことも。
ローレン
お前のお陰で救われて感謝してる人がいることも。


あなたの瞳が 揺らいだ。

あなた
でも……だからって、罪が消えるわけじゃない……。
ローレン
……そうだな。


ローレンは あなたの頬に手を添え、まっすぐに見つめる。

ローレン
罪は消えないかもしれない。でも、お前は変わろうとした。
あなた
……ローレン……。
ローレン
だから、幸せになることを拒むなよ。


あなたの目から、 ぽろっと涙が零れ落ちた。

あなた
…そんなこと言われたら、私……。
ローレン
泣くなよ、バカ。


ローレンは そっとあなたの涙を拭う。

ローレン
お前はちゃんと生きてる。それが、償いだろ?


あなたは 少しだけ迷ったような顔をしたあと――小さく頷いた。

あなた
……うん。


ローレンは微笑み、優しくあなたの頭を撫でた。

ローレン
よし。そろそろ帰るぞ。
あなた
……うん。


あなたは 涙を拭いながら、ローレンの手をそっと握る。



温かい手。確かな温もり。



この手を離さずにいられるなら――



あなたは もう一度、生きてみようと思った。




















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