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第5話

小さな優しさ
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2025/05/18 11:32 更新
朝、学校のロッカーを開けると、
中に小さなメモが入っていた。

「Good luck today」(今日も頑張って)

シンプルな文字。
誰が書いたのかわからないけど、なんとなくスタンリーの字のような気がした。
思わず、メモをそっとポケットにしまう。
教室に入ると、彼はもう席についてノートを開いていた。
私が教室に入ると、ちらりと一瞬だけ目を合わせて、すぐに視線を外す。
あなた
やっぱり彼が書いたのかな...
そう思うと、少しだけ心が温かくなった。

授業中、ふと彼を見ると、何もなかったような顔でノートを取っている。
でも、時々ちらりとこちらを見ている気がした。
昼休み、エミリーという女の子が「一緒に食べよう」と誘ってくれた。
彼女と話していると、少しずつ心がほぐれていく。
でも、ふとした瞬間に、昨日の男の子のことを探してしまう自分がいた。

放課後、下駄箱でその男の子と出くわした。
あなた
あのメモ、ありがとう
思い切って言うと、彼は一瞬だけ驚いた顔をして、
スタンリー
スタンリー
別に...
と小さくつぶやいた。

その声が、なぜかとても優しく感じた。

家に帰ってからも、メモを何度も読み返した。
小さな優しさが、私の毎日を少しずつ変えていく。

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