ur 視点
知らない声が、静かな部屋に響いた
ゆっくり顔を上げる。
薄暗い部屋の奥。
そこに立っていた男は、口元だけ笑っていた。
.....気味が悪い。
そう思った瞬間、男と目が合う。
ぞわ、と背筋に変な感覚が走った。
笑ってるくせに、目が全然笑ってない気がする。
コツ、コツ、と靴音を鳴らしながら、そいつ――ライはこっちへ近づいてくる。
逃げ場なんかない。
分かってる。
冷たい手錠が、嫌でも現実を思い出させてきた。
軽く動かしてみるけど、外れる気配はない。
..最悪だ
なるべくいつも通りに返す。
怖がってると思われたくなかった。
そう返すと、らいは小さく笑った。
でも、その笑い方が妙に変な気がした。
空気が重い。
静かなのに、息が詰まりそうになる。
らいはそのまま俺の目の前まで来ると、ゆっくりしゃがみ込んだ。
目が合う。
なるべく睨むようにして言う。
ライは頬杖を付きながら笑った
迷う理由なんかない。
ドンッッッッッ!!!
突然、すぐ横の壁に手がつかれる。
近い。
反射的に肩が震えそうになる。
思わず息を止めた。
らいは壁に手をついたまま、じっと俺を見下ろしてくる。
逃げ場を塞ぐみたいに。
喉が少し詰まりそうになる。
でも、視線だけはライを睨む。
なんとなく、逸らしたら負けな気がした。
....強がり。
....本当は、怖い
何されるか分からないし、ここがショッピングモールのどこかもわからない。
でも、それ以上に
絶対に情報を吐くなんてことしたくない。
みんなに迷惑かかるし、それだけは絶対に嫌だ
すると、らいが少しだけ笑った。
そう言った瞬間。
少し言い過ぎたかもしれない。
空気が変わった。
さっきまでの軽い空気が一瞬で消える。
ガシッ
突然顎を掴まれる。
強引に顔を上げられて、思わず眉を寄せる。
怖い。
普通に怖い。
けど、
それでも睨みかえす。
すると、らいは少し黙ったあと、低い声で言った。
みんななら来てくれる、はずだ。
らいはゆっくり俺から離れると、部屋の端へ歩いていった。
そこに置いてあった銀色のケースを手に取る。
カチ、と小さな音がした。
警戒して聞くと、ライは振り返ってこういった
シュー……
どこかから、小さな音が聞こえた。
煙らしきものは見えないし、
変な匂いもしない。
けど、
少し喉に違和感がある
なんか、息がしづらい。
ほんの少しだけだ













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。