第24話

Day 22
856
2022/04/22 11:42

Day21の続きです。



✳︎



「あなたの名字さん、ですか、」



「あっ、は…い…」



振り向いた先にはメガネにマスクの彼がいた。



「…本物…」



「どうも、川西です。」



「ぞ、存じ上げております..っ…」





私はあの日忘れ物をしたらしく、次の日メッセージが届いていて死ぬほどびっくりした。



川西賢志郎
昨日バーで会った川西といいます。
タクシーに忘れ物されてたので今度渡せればと思うんですが。


知らない番号からショートメッセージがあって、開いてみたら衝撃的な文面だった。



会社で入社時からお世話になっていた先輩が急に退職することになって悲しいのと、和牛が賞レースで優勝を逃したのが重なって、バーで潰れるように飲んでいたあの日。




正直、喋ってた時は意識がわりとしっかりしてたと思うんだけど、帰ってきて死んだように寝たら何を話したのかあんまり思い出せない。



名刺を渡したのは覚えてるけど…。

あなた
昨日はすみませんでした。
川西さんのご都合が良い時で大丈夫です。


若干疑いながらそう返して、数日後の今日、指定されたカフェで待っていた私に声をかけてくれたのが、まさに憧れの人である川西さん本人だった。


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